結論バイアグラが危険かどうかは、薬そのものではなく、服用する人の条件によって決まります。添付文書は警告を2項目、禁忌を9項目、重要な基本的注意を4項目定めており、警告には死亡例を含む心筋梗塞等の重篤な心血管系等の有害事象が報告されているため、投与前に心血管系障害の有無等を十分確認することが記載されています。
この記事の要点
- 添付文書で最上位に置かれる「警告」は2項目のみで、硝酸剤・一酸化窒素供与剤との併用と、心血管系障害の確認に関するものである
- 「投与しないこと」とされる禁忌は9項目あり、そのうち6項目は患者側の状態に関する条件である
- 重要な基本的注意は4項目で、性行為そのものが心臓への負荷であることを前提に置いている
- 米国の発売直後の集計では、270万処方が調剤された期間に報告された死亡症例のうち、米国での服用後死亡は39例で、うち33例が冠状動脈疾患の危険因子を1つ以上有していた
- これらは自発報告であり、報告した側の資料自身が、この数値から医薬品のリスクを評価することはできないと明記している
- 国内では承認と同時に要指示医薬品として指定され、処方箋に基づく調剤に限って販売できる医薬品として運用が始まった
「バイアグラは危険な薬なのか」という問いに対して、添付文書は危険か安全かという二分法では答えていません。代わりに、どのような条件の人には投与しないのか、投与する前に何を確認するのか、投与後にどの症状が出たらどうするのかを、項目ごとに分けて定めています。この記事では、バイアグラ錠の添付文書(2024年7月改訂・第8版)の警告・禁忌・重要な基本的注意の記載と、公的機関が公表した死亡症例の報告資料を用いて、その条件を整理します。推測や体験に基づく記述は用いません。
添付文書の「警告」に置かれているのは2項目だけである
医療用医薬品の添付文書では、記載事項のうち最も重い注意が「警告」の項に置かれます。バイアグラ錠の添付文書で警告に該当するのは、次の2項目です。
1.1 本剤と硝酸剤あるいは一酸化窒素(NO)供与剤(ニトログリセリン、亜硝酸アミル、硝酸イソソルビド、ニコランジル等)との併用により降圧作用が増強し、過度に血圧を下降させることがあるので、本剤投与の前に、硝酸剤あるいは一酸化窒素(NO)供与剤が投与されていないことを十分確認し、本剤投与中及び投与後においても硝酸剤あるいは一酸化窒素(NO)供与剤が投与されないよう十分注意すること。
1.2 死亡例を含む心筋梗塞等の重篤な心血管系等の有害事象が報告されているので、本剤投与の前に、心血管系障害の有無等を十分確認すること。
バイアグラ錠25mg/バイアグラ錠50mg/バイアグラODフィルム25mg/バイアグラODフィルム50mg 添付文書 1. 警告より引用この2項目には共通点があります。どちらも症状が出たあとの対処ではなく、投与する前に確認することを求めている点です。1.1は服用している薬について、1.2は心臓と血管の状態についての確認を、いずれも投与に先立って行うよう定めています。
つまり添付文書が想定しているのは、飲んだあとに注意する薬ではなく、飲む前に条件を確認してから使う薬という位置づけです。ここが、この薬の安全性を考えるうえでの起点になります。服用する側にできることは、服用中の薬と持病を漏れなく医師に伝え、確認の材料を渡すことだと言えます。
投与しないこととされている患者 禁忌の9項目
添付文書の「禁忌」は、「次の患者には投与しないこと」と明記された項目です。バイアグラ錠では9項目が挙げられています。
| 項番 | 投与しないこととされている患者 |
|---|---|
| 2.1 | 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者 |
| 2.2 | 硝酸剤あるいは一酸化窒素(NO)供与剤(ニトログリセリン、亜硝酸アミル、硝酸イソソルビド、ニコランジル等)を投与中の患者 |
| 2.3 | 心血管系障害を有するなど性行為が不適当と考えられる患者 |
| 2.4 | 重度の肝機能障害のある患者 |
| 2.5 | 低血圧の患者(血圧<90/50mmHg)又は治療による管理がなされていない高血圧の患者(安静時収縮期血圧>170mmHg又は安静時拡張期血圧>100mmHg) |
| 2.6 | 脳梗塞・脳出血や心筋梗塞の既往歴が最近6ヵ月以内にある患者 |
| 2.7 | 網膜色素変性症患者 |
| 2.8 | アミオダロン塩酸塩(経口剤)を投与中の患者 |
| 2.9 | 可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)刺激剤(リオシグアト)を投与中の患者 |
9項目のうち、2.2・2.8・2.9の3つは服用中の薬剤に関する条件、残る6つは患者自身の状態に関する条件です。薬剤側の条件について、剤形の違いを含めた一覧は併用できない薬の整理で、血圧の薬を服用している場合の区分は血圧の薬との併用の整理で扱っています。
禁忌(きんき)
添付文書において「次の患者には投与しないこと」と定められた条件のことです。副作用が出やすいという程度の注意ではなく、投与そのものを行わない対象として区分されています。これに対し「慎重に投与すること」「低用量から開始すること」とされる条件は、禁忌ではなく特定の背景を有する患者に関する注意の項に置かれます。
この一覧を見ると、禁忌の中心が心臓と血管の状態にあることがわかります。2.3は心血管系障害を有するなど性行為が不適当と考えられる患者、2.5は血圧が特定の数値を外れている患者、2.6は6ヵ月以内に脳梗塞・脳出血・心筋梗塞の既往がある患者で、いずれも警告1.2が求める「心血管系障害の有無等の確認」と対応しています。
注意したいのは、これらの条件が自分では判断しにくい形で書かれていることです。安静時の血圧の数値、肝機能障害の程度、心血管系障害の有無は、いずれも検査と診察を経なければ確定しません。禁忌に該当するかどうかを本人が判断できる設計にはなっていない、という点がここから読み取れます。
重要な基本的注意に定められた4つの条件
禁忌に該当しない場合でも、添付文書は「重要な基本的注意」として4項目を定めています。内容は、投与前に確認すること、投与後に症状が出た場合の対応、日常生活上の注意の3つに分かれます。
| 項番 | 記載されている内容 |
|---|---|
| 8.1 | 性行為は心臓へのリスクを伴うため、勃起不全の治療を開始する前に心血管系の状態に注意をはらうこと |
| 8.2 | 4時間以上の勃起の延長又は持続勃起が外国市販後有害事象で少数例報告されている。処置を速やかに行わないと陰茎組織の損傷又は勃起機能を永続的に損なうことがあるため、勃起が4時間以上持続する症状がみられた場合、直ちに医師の診断を受けるよう指導すること |
| 8.3 | 臨床試験においてめまいや視覚障害が認められているため、自動車の運転や機械の操作に従事する場合には注意させること |
| 8.4 | 投与後に急激な視力低下又は急激な視力喪失があらわれた場合には、服用を中止し、速やかに眼科専門医の診察を受けるよう患者に指導すること |
4項目の中で、8.1は他の3つと性格が異なります。薬の作用に関する注意ではなく、性行為そのものが心臓に負荷をかける行為であることを前提に置いた記載だからです。この薬が使われる場面には、薬の血管拡張作用と、行為による心拍数・心筋酸素消費量の増加が同時に存在します。警告1.2と禁忌2.3が心血管系の条件を重ねて置いているのは、この2つが重なる場面で使われる薬だからだと読めます。
直ちに医療機関を受診することとされている症状
勃起が4時間以上持続する場合は、処置が遅れると陰茎組織の損傷または勃起機能を永続的に損なうことがあるため、直ちに医師の診断を受けることとされています。急激な視力低下または急激な視力喪失があらわれた場合は、服用を中止し、速やかに眼科専門医の診察を受けることとされています。いずれも、時間の経過で軽快することを前提としていない記載です。
一方で、発現頻度1%以上に区分されるほてり・潮紅や頭痛は、これらとは別の性質を持つ反応です。血管拡張作用に伴って生じ、血中濃度の低下とともに軽快するのが一般的とされます。頻度の高い症状がどのくらいで治まるのかは頭痛や顔の赤みの経過の整理で、薬物動態の数値をもとに扱っています。
死亡例はどのように報告されているのか
警告1.2にある「死亡例」がどの報告を指すのかは、公的資料から確認できます。厚生省が1998年8月に発行した医薬品・医療用具等安全性情報 No.149に、米国FDAが公表した集計の仮訳が掲載されています。
それによると、米国での発売は1998年3月下旬で、6月までの間に270万処方が調剤されました。この期間に、バイアグラを処方された後に死亡した77症例がFDAに報告されています。内訳は、外国における症例が6例、風聞や報道など不確実な報告が24例、服用の有無が不明なものが8例で、残る39例が米国におけるバイアグラ服用後の死亡症例とされました。
| 区分 | 報告されている内容 |
|---|---|
| 死因 | 心臓への影響24例(心筋梗塞又はその疑い10例、心停止9例、心疾患の徴候3例、冠状動脈疾患2例)、不明13例、脳卒中2例 |
| 年齢 | 39例はすべて男性。年齢が特定されている31例の平均は66歳(中央値64歳、48〜87歳) |
| 投与量 | 18例で報告があり、1例を除き50mg |
| 併用 | 6例で、併用禁忌であるニトログリセリン又は硝酸系製剤の投与を受けていた |
| 性行為との時間関係 | 情報のある症例のうち、14例は性行為の最中か2時間以内、3例は2時間以降に死亡又は致死的な徴候が発現 |
| 危険因子 | 39例中33例(85%)が冠状動脈疾患の危険因子(高血圧、高コレステロール血症、喫煙、糖尿病、肥満、心疾患の既往歴)を1つ以上有していた |
出典は医薬品・医療用具等安全性情報 No.149(平成10年8月、厚生省医薬安全局)に掲載されたFDA資料の仮訳です。当時のバイアグラは国内未承認であり、この集計は米国の市販直後のものです。
同じ資料には、国内で報告された症例も記載されています。60代の男性で、高血圧・糖尿病・不整脈の治療中であり、ニトログリセリン貼付剤等を使用していました。友人からもらったバイアグラを1錠服用後に性行為を行い、家族が異常に気づいて救急隊を要請したのが服用の約2時間20分後、到着時点ですでに心肺停止の状態で、搬送後に蘇生術を試みたものの服用の約3時間半後に死亡しています。死因は不明とされました。この症例は、厚生省が1998年7月15日に公表した報道発表資料でも公開されています。
この国内症例には、3つの条件が同時に成立していました。医師の診断を経ずに入手した薬であること、併用禁忌にあたる硝酸剤が使用されていたこと、そして冠状動脈疾患の危険因子にあたる持病が複数あったことです。医師の関与しない経路で入手した場合に何が確認されないままになるのかは、入手経路ごとの違いの整理で扱っています。
この数値の読み方
FDAの資料は、これらが自発報告であることを明記しています。報告された臨床データが不十分で、事象が医薬品によって引き起こされたのかを判断できないものが含まれること、患者が元から持っていた疾病や別の要因による場合もあること、そしてこの報告数から医薬品のリスクを評価したり、医薬品どうしの安全性を比較したりすることはできないことが、資料自身に書かれています。件数だけを取り出して危険性の大きさを示す数値として扱うことは、資料の趣旨と一致しません。
それでも、この集計から読み取れることはあります。39例中33例が冠状動脈疾患の危険因子を有していたこと、6例が併用禁忌の薬剤を使用していたことは、警告1.1と1.2、そして禁忌2.2・2.3・2.5・2.6が何を防ごうとしている記載なのかを具体的に示しています。添付文書が投与前の確認を繰り返し求めているのは、この構図に対応した設計だと言えます。
「頻度不明」と記載された事象をどう読むか
添付文書の副作用の項は、発現頻度を1%以上、0.1〜1%未満、0.1%未満、頻度不明の4区分で示しています。このうち頻度不明の欄に、心筋梗塞、低血圧、失神、霧視、視力低下、網膜出血、網膜静脈閉塞、突発性難聴などが記載されています。
頻度不明
起きないという意味ではなく、発現する割合を算出できないという意味です。添付文書の発現頻度は、承認時の国内臨床試験、外国で実施された第Ⅱ相/第Ⅲ相試験、および使用成績調査の結果に基づいており、これらの調査の枠外で報告された事象は分母が定まらないため、頻度不明に区分されます。なお心筋梗塞には、因果関係は明らかではないが市販後において投与後に発症したとの報告がある旨の注記が付されています。
目に関する事象については、その他の注意の項にさらに詳しい記載があります。
薬剤との因果関係は明らかではないが、外国において本剤を含むPDE5阻害薬投与中に、まれに、視力低下や視力喪失の原因となりうる非動脈炎性前部虚血性視神経症(NAION)の発現が報告されている。これらの患者の多くは、NAIONの危険因子[年齢(50歳以上)、糖尿病、高血圧、冠動脈障害、高脂血症、喫煙等]を有していた。
同添付文書 15.1 臨床使用に基づく情報より引用ここで挙げられている危険因子は、50歳以上・糖尿病・高血圧・冠動脈障害・高脂血症・喫煙で、先の死亡症例の集計で示された冠状動脈疾患の危険因子とほぼ重なります。目の事象と心血管系の事象が、同じ背景条件を共有していることになります。
頻度不明という区分は、割合が示されないぶん判断の材料にしにくい記載です。ただし、どのような背景を持つ人に報告が集まっているかは書かれています。自分がその背景に該当するかどうかを確認できるのは診察の場であり、ここでも判断は医療機関側に置かれています。
なぜ処方箋がなければ使えない設計になっているのか
バイアグラ錠の規制区分は処方箋医薬品で、添付文書の冒頭には「注意-医師の処方箋により使用すること」と記載されています。この扱いは承認の時点から定められたものです。
1999年1月25日、厚生省はクエン酸シルデナフィル製剤を承認すると同時に、薬事法に基づく要指示医薬品として指定しました。同日付で発出された医薬発第90号(クエン酸シルデナフィル製剤の販売及び管理について)は、外国において市販後に死亡例を含む重篤な心血管系等の有害事象が報告されているなど、販売及び管理に当たっては厳重かつ慎重な対応が必要であるとしたうえで、医師の処方箋に基づき個々の患者の状況に応じて調剤されたものに限って投与又は販売されることが認められる旨を都道府県あてに通知しています。この経緯は厚生省の報道発表資料で公開されています。
効能又は効果に関連する注意の5.1にも、同じ方向の記載があります。投与に際しては、勃起不全及びその基礎疾患の診断のため、既往歴の調査や諸検査を行い、客観的な診断に基づき臨床上治療が必要とされる患者に限定すること、というものです。ここで「基礎疾患の診断」が求められている点は、この薬が症状だけを見て使う設計になっていないことを示しています。
勃起不全の背景には、血管の問題、神経の問題、内分泌の問題、心理的な要因、服用中の薬剤の影響など、複数の分類があります。どの分類が医療機関での検査対象になるのかは背景要因の分類の整理で、受診の判断にあたって確認される項目は受診が必要かどうかの判断でまとめています。
なお、医師の処方を前提とする医療用医薬品と、薬局や通信販売で購入できる指定医薬部外品・健康食品とでは、承認区分も承認された効能又は効果の範囲も異なります。この記事で扱った警告・禁忌・重要な基本的注意は、いずれも医療用医薬品としてのバイアグラ錠について定められたものです。区分ごとの制度上の位置づけは承認区分による整理で扱っています。
よくある質問
Qバイアグラは危険な薬ですか。
添付文書は危険か安全かという形では記載していません。投与しない対象として禁忌を9項目、投与前に確認する事項として警告を2項目、投与にあたっての注意として重要な基本的注意を4項目定めており、条件に該当するかどうかで扱いが分かれる設計になっています。警告には、死亡例を含む心筋梗塞等の重篤な心血管系等の有害事象が報告されているため、投与前に心血管系障害の有無等を十分確認することが記載されています。
Qバイアグラを飲んではいけないのは、どのような人ですか。
添付文書の禁忌は9項目です。本剤の成分に対する過敏症の既往、硝酸剤あるいは一酸化窒素供与剤の投与中、心血管系障害を有するなど性行為が不適当と考えられる状態、重度の肝機能障害、低血圧(血圧<90/50mmHg)又は治療による管理がなされていない高血圧(安静時収縮期血圧>170mmHg又は安静時拡張期血圧>100mmHg)、最近6ヵ月以内の脳梗塞・脳出血・心筋梗塞の既往、網膜色素変性症、アミオダロン塩酸塩(経口剤)の投与中、リオシグアトの投与中が該当します。
Qバイアグラの死亡例は何件報告されていますか。
厚生省が1998年8月に発行した医薬品・医療用具等安全性情報 No.149には、米国で1998年3月下旬の発売から6月までに270万処方が調剤され、この間に処方後に死亡した77症例がFDAに報告されたことが記載されています。このうち米国におけるバイアグラ服用後の死亡症例は39例で、39例中33例が冠状動脈疾患の危険因子を1つ以上有し、6例が併用禁忌の硝酸系製剤の投与を受けていました。同資料は、これらが自発報告であり、報告数から医薬品のリスクを評価したり安全性を比較したりすることはできないと明記しています。
Q持病があると、バイアグラは飲めないのですか。
持病があること自体で一律に投与しないとされているわけではありません。禁忌に挙げられているのは、重度の肝機能障害、特定の数値範囲の低血圧・管理されていない高血圧、最近6ヵ月以内の脳梗塞・脳出血・心筋梗塞の既往、網膜色素変性症、心血管系障害を有するなど性行為が不適当と考えられる状態です。これらに該当しない場合でも、高齢者、肝機能障害、重度の腎障害では低用量から投与を開始することとされており、該当の可否は診察と検査によって判断されます。
Q服用後に、直ちに受診すべき症状はありますか。
添付文書は2つの症状について定めています。勃起が4時間以上持続する症状がみられた場合は、処置を速やかに行わないと陰茎組織の損傷又は勃起機能を永続的に損なうことがあるため、直ちに医師の診断を受けることとされています。急激な視力低下又は急激な視力喪失があらわれた場合は、服用を中止し、速やかに眼科専門医の診察を受けることとされています。
Q健康な人が飲めば安全ですか。
添付文書は健康な人という区分での安全性を記載していません。効能又は効果は勃起不全であり、効能又は効果に関連する注意の5.1では、既往歴の調査や諸検査を行い、客観的な診断に基づき臨床上治療が必要とされる患者に限定することとされています。また警告1.2は投与前に心血管系障害の有無等を十分確認することを求めており、自覚症状がないことは条件に該当しないことの確認にはなりません。
まとめ
バイアグラが危険かどうかは、薬そのものの性質ではなく、服用する人の条件によって決まります。添付文書は警告2項目、禁忌9項目、重要な基本的注意4項目を定めており、警告の2項目はいずれも、症状が出たあとの対処ではなく投与前の確認を求める記載です。
禁忌9項目のうち6項目は患者自身の状態に関する条件で、その中心は心臓と血管の状態にあります。安静時血圧の数値、肝機能障害の程度、心血管系障害の有無は、いずれも検査と診察を経なければ確定しないため、該当の可否を本人が判断できる設計にはなっていません。
公的資料が公表している死亡症例の集計を見ると、米国での服用後死亡39例のうち33例が冠状動脈疾患の危険因子を有し、6例が併用禁忌の薬剤を使用していました。これらは自発報告であり、件数からリスクの大きさを評価することはできないと資料自身が明記していますが、添付文書が投与前の確認を繰り返し求めている理由を具体的に示す内容ではあります。国内で承認と同時に要指示医薬品として指定され、処方箋に基づく調剤に限って販売できる医薬品とされたのも、同じ背景によるものです。
本記事の記載は、バイアグラ錠25mg/バイアグラ錠50mg/バイアグラODフィルム25mg/バイアグラODフィルム50mg 添付文書(2024年7月改訂・第8版、製造販売元:ヴィアトリス製薬合同会社)、医薬品・医療用具等安全性情報 No.149(平成10年8月、厚生省医薬安全局)、厚生省報道発表資料(平成10年7月15日、平成11年1月25日)に基づいています。添付文書は改訂されることがあるため、最新版はPMDA 医療用医薬品 情報検索でご確認ください。本記事は情報の整理を目的としたものであり、診断・処方を行うものではありません。

