結論血圧の薬を飲んでいることだけを理由に、バイアグラが一律に禁忌になることはありません。バイアグラの添付文書が併用禁忌としている薬の効能又は効果は、狭心症・虚血性心疾患・肺高血圧症であり、高血圧症は含まれていません。ただし、高血圧症の効能をもつ薬の中にも、その薬自身の添付文書がバイアグラを禁忌としているものがあります。
この記事の要点
- 添付文書10.2は「降圧剤」と「α遮断剤」を併用注意の区分に置き、アムロジピン、ドキサゾシンという薬剤名を本文中に挙げている
- 併用注意は併用が禁止されている区分ではないが、自己判断で併用してよいという意味ではない
- 併用禁忌とされている硝酸剤・ニコランジル・リオシグアトの効能又は効果は、狭心症・虚血性心疾患・肺高血圧症で、高血圧症を含まない
- 高血圧症の効能をもつ薬は、日本標準商品分類番号の上で少なくとも六つの分類に分かれている
- アムロジピンと硝酸イソソルビド・ニコランジルは同じ分類番号2171だが、一方は併用注意、他方は併用禁忌である
- 高血圧症の効能をもつ薬の中に、相手側の添付文書がホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤を禁忌としているものがある
バイアグラ(一般名:シルデナフィルクエン酸塩)と血圧の薬の関係は、添付文書の「2. 禁忌」と「10. 相互作用」に分かれて記載されています。この記事では、どの薬が禁忌にあたり、どの薬が併用注意にとどまるのかを、バイアグラ錠の添付文書(2024年7月改訂・第8版)の記載と、それぞれの薬の添付文書に記載された効能又は効果および日本標準商品分類番号から整理します。「降圧剤はすべて禁忌」という説明を見かけることがありますが、添付文書の記載はそのようになっていません。
添付文書は「降圧剤」と「α遮断剤」を併用注意に置いている
バイアグラの添付文書には、血圧を下げる薬に関する記載が二か所にあります。一つは10.1の「併用禁忌(併用しないこと)」で、もう一つが10.2の「併用注意(併用に注意すること)」です。血圧の治療に用いられる薬が置かれているのは、このうち10.2のほうです。
10.2には五つの区分が並んでおり、そのうち二つが「降圧剤」と「α遮断剤」です。どちらも薬効群の名前で示されていますが、臨床症状・措置方法の欄には具体的な薬剤名が書き込まれています。
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| 降圧剤 | アムロジピン等の降圧剤との併用で降圧作用を増強したとの報告がある | 本剤は血管拡張作用による降圧作用を有するため、併用による降圧作用を増強することがある |
| α遮断剤 | ドキサゾシン等のα遮断剤との併用でめまい等の自覚症状を伴う血圧低下を来したとの報告がある。降圧作用が増強することがあるので、低用量(25mg)から投与を開始するなど慎重に投与すること | 同上 |
この二行には、それぞれ主要文献の番号が付されています。降圧剤の行には文献3および12、α遮断剤の行には文献13です。文献12はアムロジピンとの薬物相互作用の検討、文献13はドキサゾシンとの薬物相互作用の検討2試験と記載されています。「報告がある」という記述の中身が、薬剤名の水準で特定されているということです。
二行のうち、措置方法まで書かれているのはα遮断剤のほうです。「低用量(25mg)から投与を開始するなど慎重に投与すること」という記載が、臨床症状の説明に続けて置かれています。10.2の五区分のうち、この措置方法が書かれているのはα遮断剤とチトクロームP450 3A4阻害薬の二つだけです。
併用注意という区分の意味
併用注意は、10.1の併用禁忌とは別に設けられた区分であり、併用が禁止されている区分ではありません。ただしこれは、自己判断で併用してよいという意味ではありません。α遮断剤の欄に開始用量に関する措置方法が書かれていることからわかるように、この区分は処方する側が用量や経過を調整することを前提に置かれています。
10.2にはこのほか、チトクロームP450 3A4阻害薬、同誘導薬、カルペリチドの三区分が置かれています。併用禁忌の三区分を含めた相互作用の項の全体像は、併用できない薬の確認で扱っています。
併用禁忌の薬は狭心症と肺高血圧症の薬 効能又は効果に高血圧症は入っていない
では、10.1の併用禁忌に置かれている薬はどうでしょうか。硝酸剤及びNO供与剤(ニトログリセリン、亜硝酸アミル、硝酸イソソルビド、ニコランジル等)、アミオダロン塩酸塩(経口剤)、sGC刺激剤のリオシグアトの三つです。
このうち血管を広げる作用をもつ薬について、それぞれの添付文書に記載された効能又は効果を並べると、次のようになります。
| 一般名 | 添付文書に記載された効能又は効果 |
|---|---|
| ニトログリセリン | 狭心症、心筋梗塞、心臓喘息、アカラジアの一時的緩解 |
| 硝酸イソソルビド | 狭心症、心筋梗塞(急性期を除く)、その他の虚血性心疾患 |
| ニコランジル | 狭心症 |
| リオシグアト | 外科的治療不適応又は外科的治療後に残存・再発した慢性血栓塞栓性肺高血圧症、肺動脈性肺高血圧症 |
四つのいずれにも、高血圧症は含まれていません。狭心症と虚血性心疾患、そして肺高血圧症です。これらは血圧を下げる作用をもつ薬ではありますが、承認された効能又は効果の上では高血圧症の治療薬ではないということになります。
リオシグアトの効能又は効果に現れる「肺高血圧症」は、名前に高血圧の語を含みますが、一般に高血圧症と呼ばれる状態とは別の疾患です。肺高血圧症は肺の動脈の血圧が高くなる状態を指し、健康診断や家庭の血圧計で測る血圧の高さとは対象が異なります。効能又は効果の欄は「慢性血栓塞栓性肺高血圧症」「肺動脈性肺高血圧症」と、疾患名を限定した形で記載されています。
「降圧剤はすべて禁忌」という説明が生じる理由
併用禁忌に置かれた薬は、いずれも血圧を下げる方向に働きます。血圧を下げる作用があることと、高血圧症の治療薬であることを同じものとして扱うと、これらが「血圧の薬」に見えます。ここから「血圧の薬は禁忌」という説明が生まれ、実際には併用注意に置かれている降圧薬まで巻き込まれる形になります。添付文書が区分しているのは作用の方向ではなく、薬剤そのものです。
禁忌は薬剤の併用に関する三項目のほかに、患者側の条件を定めた六項目があり、全部で九項目です。警告二項目と禁忌九項目の全体像は、添付文書の警告と禁忌からの確認で扱っています。
高血圧症の効能をもつ薬は六つの分類番号に分かれている 番号でも群でも可否は決まらない
次に、高血圧症の効能をもつ薬の側を見ていきます。医療用医薬品の添付文書には、冒頭に日本標準商品分類番号が記載されています。同じ「血圧の薬」として処方されている薬でも、この番号は一つに揃っていません。
| 薬効群の呼称 | 一般名 | 分類番号 | 効能又は効果 |
|---|---|---|---|
| カルシウム拮抗薬 | アムロジピンベシル酸塩 | 872171 | 高血圧症、狭心症 |
| アンジオテンシンII受容体拮抗薬 | カンデサルタン シレキセチル | 872149 | 高血圧症、腎実質性高血圧症 ほか |
| アンジオテンシン変換酵素阻害薬 | エナラプリルマレイン酸塩 | 872144、872179 | 本態性高血圧症、腎性高血圧症、腎血管性高血圧症、悪性高血圧 ほか |
| サイアザイド系利尿薬 | トリクロルメチアジド | 872132 | 高血圧症(本態性、腎性等)、悪性高血圧 ほか |
| 抗アルドステロン薬 | スピロノラクトン | 872133 | 高血圧症(本態性、腎性等)ほか |
| β遮断薬 | ビソプロロールフマル酸塩 | 872123 | 本態性高血圧症(軽症〜中等症)、狭心症 ほか |
| αβ遮断薬 | カルベジロール | 872149 | 本態性高血圧症(軽症〜中等症)、腎実質性高血圧症、狭心症 ほか |
| α遮断薬 | ドキサゾシンメシル酸塩 | 872149 | 高血圧症、褐色細胞腫による高血圧症 |
八剤で、2123、2132、2133、2144、2149、2171の六つの番号にまたがっています(エナラプリルマレイン酸塩には、このほかに2179も併記されています)。同じ番号に複数の群が入る一方で、同じ「血圧の薬」として処方されているものが六つの分類に分かれているということです。
ここでもう一度、表②に戻ります。硝酸イソソルビドとニコランジルの分類番号は、いずれも2171です。表③のアムロジピンと同じ番号です。分類番号が同じでありながら、アムロジピンは10.2の併用注意、硝酸イソソルビドとニコランジルは10.1の併用禁忌に置かれています。
分類番号2171に置かれている薬
アムロジピンベシル酸塩、ニトログリセリン、硝酸イソソルビド、ニコランジルは、いずれも日本標準商品分類番号が872171です。このうちアムロジピンは併用注意、残る三つは併用禁忌にあたります。分類番号は薬の位置づけを示す番号であり、バイアグラとの併用可否を示す番号ではありません。
薬効群の呼称でも同じことが起こります。表③の八剤のうち、ドキサゾシンだけが10.2の「α遮断剤」の行に、残る七剤が「降圧剤」の行に対応します。つまり「降圧剤」という一語の中に、六つの分類番号と七つ以上の薬効群が入っています。服用中の薬がどの群に属するかを調べても、そこから併用可否は導けません。
ここまでに挙げた薬剤は、いずれも医師の処方を前提とした医療用医薬品であり、日本標準商品分類番号という共通の体系の中に位置づけられています。市販の活力ケア製品は承認区分が異なり、この体系の対象ではありません。区分ごとの違いは、承認区分による整理で扱っています。
相手側の添付文書がバイアグラを禁忌としている降圧薬がある
ここまではバイアグラの添付文書に何が書かれているかを見てきました。しかし、飲み合わせの記載はバイアグラ側の添付文書だけにあるわけではありません。相手側の薬の添付文書にも、シルデナフィルに関する記載が置かれていることがあります。
高血圧症の効能をもつ薬の中に、その薬自身の添付文書がホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤を禁忌としている例があります。ニプラジロールの内服剤です。この薬の効能又は効果は「本態性高血圧症(軽症〜中等症)、狭心症」で、日本標準商品分類番号は872149です。
2.9 ホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤(シルデナフィルクエン酸塩、バルデナフィル塩酸塩水和物、タダラフィル)又はリオシグアトを投与中の患者[8.5、10.1参照]
ハイパジールコーワ錠3/ハイパジールコーワ錠6 添付文書 2.禁忌より
この薬はバイアグラの添付文書の併用禁忌の欄には名前が挙がっていません。バイアグラ側から見れば「降圧剤」の一行に含まれる薬です。それでも相手側の添付文書では、併用してはならない相手として禁忌の項に置かれています。
相手側にも記載があるという点では、ドキサゾシンも同じです。バイアグラの添付文書がα遮断剤の代表として挙げているこの薬は、自身の添付文書の10.2にホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤を置いており、シルデナフィルクエン酸塩の名前も記載されています。臨床症状として、めまい等の自覚症状を伴う症候性低血圧を来したとの報告があると書かれています。こちらは双方が併用注意で一致している例です。
もう一つ、バイアグラの添付文書10.2の五区分に含まれるカルペリチドは、急性心不全に用いられる注射剤です。持続静脈内投与で用いられるため、外来で自分が服用している薬として意識される種類のものではありません。この薬の添付文書は8.5に、投与前にホスホジエステラーゼ5阻害薬を服用していないことを確認するよう求める記載を置いています。
なお、表③に挙げた八剤のうち、ドキサゾシン以外の七剤の添付文書には、本記事で参照した範囲においてホスホジエステラーゼ5阻害薬に関する記載がありませんでした。相手側に記載がある降圧薬は多数派ではありませんが、存在しないわけではないということになります。
記載の所在が薬ごとに違う
同じ薬効群に属していても、相手側の添付文書に記載があるかどうか、また記載が禁忌の項にあるか併用注意の項にあるかは、薬剤ごとに異なります。バイアグラの添付文書だけを読んでも、この差は把握できません。飲み合わせの確認が薬効群ではなく薬剤名の単位で必要になるのは、このためです。
ニプラジロールとドキサゾシンの添付文書がそろって挙げているのは、めまいや自覚症状を伴う血圧低下です。バイアグラ自身の副作用の項にも、めまいや血管拡張による症状が記載されています。服用後にあらわれる症状とその経過については、頭痛や顔の赤みの経過で扱っています。
血圧の数値そのものを理由とする禁忌 高い側だけでなく低い側にもある
ここまでは服用中の薬を理由とする条件でしたが、添付文書にはもう一つ、血圧の数値そのものを理由とする禁忌があります。禁忌九項目のうちの2.5です。
2.5 低血圧の患者(血圧<90/50mmHg)又は治療による管理がなされていない高血圧の患者(安静時収縮期血圧>170mmHg又は安静時拡張期血圧>100mmHg)[1.2、8.1参照]
バイアグラ錠25mg/50mg、バイアグラODフィルム25mg/50mg 添付文書 2.禁忌より
この項目には二つの条件が並んでいます。一つは高い側で、安静時の収縮期血圧が170mmHgを超えるか、安静時の拡張期血圧が100mmHgを超える場合です。ただし条件には「治療による管理がなされていない」という限定が付いています。もう一つは低い側で、血圧が90/50mmHgを下回る場合です。
血圧の薬を飲んでいる読者にとって関わりが深いのは、低い側の条件のほうかもしれません。降圧薬による治療を受けている場合、血圧は治療前より低い水準に保たれています。バイアグラには血管拡張作用による降圧作用があり、10.2の機序の欄にもそのように書かれています。高い側の数値だけを気にして低い側の記載を見落とすと、条件の一方しか確認できないことになります。
2.5には参照先として1.2と8.1が示されています。1.2は警告の二項目のうちの一つで、死亡例を含む心筋梗塞等の重篤な心血管系等の有害事象が報告されているため、投与前に心血管系障害の有無等を十分確認することを求める内容です。8.1は重要な基本的注意の一項目で、性行為が心臓へのリスクを伴うことから、治療を開始する前に心血管系の状態に注意をはらうよう求めています。血圧の数値は、この心血管系の確認の一部として位置づけられています。
高血圧は、それ自体が勃起不全の背景として挙げられる要因の一つでもあります。添付文書のその他の注意(15.1.1)にも、危険因子の例として高血圧が挙げられています。背景にある要因の整理は、原因の切り分けで扱っています。
診察で伝えるのは薬効群ではなく薬剤名・剤形・使い方
ここまでの整理をまとめると、確認が必要なのは「血圧の薬を飲んでいるかどうか」ではなく、「どの薬を、どの剤形で、どのように使っているか」ということになります。
薬剤名
薬効群の呼称ではなく、処方されている薬の名称そのものが必要です。表③で見たとおり、同じ群に属する薬でも相手側の添付文書の記載は異なり、群の名前からは判断できません。お薬手帳、薬剤情報提供書、処方箋の控えのいずれにも記載されています。
剤形
同じ有効成分でも、内服薬・貼付剤・スプレー・舌下錠・注射剤といった剤形の違いがあります。剤形が違えば体内に入る量が異なり、添付文書の記載も同じとは限りません。飲み薬以外の形で使っているものは、確認の対象から漏れやすい部分です。
使い方
毎日決まって服用しているものと、症状があるときにだけ使うものがあります。頓用で使っている薬は「飲んでいる薬」を思い出す形の確認から外れやすく、常用薬だけを申告する結果になることがあります。使用頻度が低くても、使っている薬として伝える対象になります。
お薬手帳を持参すれば、この三つはまとめて伝わります。複数の医療機関にかかっている場合は、手帳を一冊にまとめておくと、処方する側が全体を照合できます。バイアグラは処方箋医薬品であり、添付文書の冒頭にも「注意-医師の処方箋により使用すること」と記載されています。服薬内容の照合は、処方の場面で行われることが前提に置かれています。
血圧の治療を受けている場合、ED治療薬の処方を受けられるかどうかは、服用中の薬と血圧の状態の両方から判断されます。どのような情報を用意して受診すればよいかは、受診の判断で整理しています。
よくある質問
Q降圧剤を飲んでいるとバイアグラは処方されないのですか。
添付文書上、降圧剤は10.2の併用注意の区分に置かれており、10.1の併用禁忌には含まれていません。したがって降圧剤を服用していることだけを理由に、一律に禁忌となるわけではありません。ただし併用注意は、自己判断で併用してよいという意味ではありません。実際に処方されるかどうかは、服用中の薬剤名と血圧の状態を含めた医師の判断によります。
Q血圧の薬と一緒に飲むと、どのような症状が起こることがありますか。
添付文書10.2の降圧剤の欄には、アムロジピン等の降圧剤との併用で降圧作用を増強したとの報告があると記載されています。α遮断剤の欄には、ドキサゾシン等との併用でめまい等の自覚症状を伴う血圧低下を来したとの報告があると記載されています。機序としては、本剤が血管拡張作用による降圧作用を有するため、併用により降圧作用が増強することがあると説明されています。
Q高血圧の薬なのに禁忌とされているものはありますか。
あります。ニプラジロールの内服剤は、効能又は効果が本態性高血圧症(軽症〜中等症)と狭心症ですが、その添付文書の禁忌の項に、ホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤(シルデナフィルクエン酸塩、バルデナフィル塩酸塩水和物、タダラフィル)又はリオシグアトを投与中の患者が挙げられています。バイアグラ側の添付文書の併用禁忌欄には、この薬の名前はありません。相手側の添付文書を見て初めてわかる記載です。
Q血圧がいくつ以上だと飲めないのですか。
添付文書の禁忌2.5は、治療による管理がなされていない高血圧の患者として、安静時収縮期血圧が170mmHgを超える場合または安静時拡張期血圧が100mmHgを超える場合を挙げています。同じ項目には低い側の条件もあり、血圧が90/50mmHgを下回る低血圧の患者も禁忌とされています。高い側だけでなく低い側にも定めがある点は見落とされやすい部分です。
Qニトログリセリンの舌下錠は発作のときだけ使っています。これも該当しますか。
ニトログリセリンは添付文書の10.1に併用禁忌として記載されており、警告1.1にも同じ内容が置かれています。使用頻度による区別は記載されていません。また警告1.1は、投与の前に確認することに加えて、投与中および投与後においても投与されないよう注意することを求めています。なおニトログリセリンの効能又は効果は狭心症、心筋梗塞、心臓喘息、アカラジアの一時的緩解であり、高血圧症は含まれていません。
Q血圧の薬を飲んでいることは、診察でどう伝えればよいですか。
薬効群の呼称ではなく、薬剤名・剤形・使い方の三つが伝わる形が必要です。同じ群に属していても相手側の添付文書の記載は薬剤ごとに異なるため、群の名前だけでは判断の材料になりません。お薬手帳や薬剤情報提供書を持参すれば、この三つはまとめて伝わります。症状があるときにだけ使う薬や、貼付剤・スプレーなど飲み薬以外の形で使っている薬も、伝える対象に含まれます。
まとめ
バイアグラの添付文書は、血圧を下げる薬を一括して扱ってはいません。10.1の併用禁忌に置かれているのは硝酸剤及びNO供与剤、アミオダロン塩酸塩(経口剤)、リオシグアトで、これらの効能又は効果は狭心症・虚血性心疾患・肺高血圧症であり、高血圧症を含みません。高血圧症の治療に用いられる薬は、10.2の「降圧剤」と「α遮断剤」の二行に置かれています。
その一方で、高血圧症の効能をもつ薬は日本標準商品分類番号の上で六つの分類に分かれており、番号が同じでも併用禁忌と併用注意に分かれる組み合わせが存在します。さらに、バイアグラ側の添付文書に名前がなくても、相手側の添付文書がホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤を禁忌としている降圧薬もあります。薬効群や分類番号を手がかりにしても、併用可否は決まらないということです。
血圧そのものを理由とする禁忌も、高い側と低い側の両方に定められています。確認に必要なのは、服用中の薬の名称・剤形・使い方と、現在の血圧の状態です。これらを処方する側に伝えることが、添付文書の記載が想定している確認の形になります。
本記事の数値および記載は、バイアグラ錠25mg/バイアグラ錠50mg/バイアグラODフィルム25mg/バイアグラODフィルム50mg 添付文書(2024年7月改訂・第8版、製造販売元:ヴィアトリス製薬合同会社)、ノルバスク錠2.5mg/5mg/10mg、ノルバスクOD錠 添付文書(2026年5月改訂・第8版、製造販売元:ヴィアトリス製薬合同会社)、ブロプレス錠2/4/8/12 添付文書(2025年9月改訂・第5版、製造販売元:T’s製薬株式会社)、レニベース錠2.5/5/10 添付文書(2025年9月改訂・第5版、製造販売元:オルガノン株式会社)、フルイトラン錠1mg/2mg 添付文書(2025年5月改訂・第3版、製造販売元:シオノギファーマ株式会社)、アルダクトンA錠25mg/50mg、細粒10% 添付文書(2025年3月改訂・第4版、製造販売元:ファイザー株式会社)、メインテート錠0.625mg/2.5mg/5mg 添付文書(2025年12月改訂・第3版、製造販売元:田辺ファーマ株式会社)、アーチスト錠1.25mg/2.5mg/10mg/20mg 添付文書(2024年4月改訂・第2版、製造販売元:第一三共株式会社)、カルデナリン錠0.5mg/1mg/2mg/4mg、カルデナリンOD錠 添付文書(2026年2月改訂・第4版、製造販売元:ヴィアトリス製薬合同会社)、ハイパジールコーワ錠3/ハイパジールコーワ錠6 添付文書(2024年9月改訂・第2版、製造販売元:興和株式会社)、ニトロペン舌下錠0.3mg 添付文書(2023年8月改訂・第1版、製造販売元:日本化薬株式会社)、ニトロールRカプセル20mg 添付文書(2024年9月改訂・第2版、製造販売元:エーザイ株式会社)、シグマート錠2.5mg/5mg 添付文書(2022年1月改訂・第1版、製造販売元:中外製薬株式会社)、アデムパス錠0.5mg/1.0mg/2.5mg 添付文書(2026年2月改訂・第6版、製造販売元:バイエル薬品株式会社)、ハンプ注射用1000 添付文書(2022年3月改訂・第1版、製造販売元:第一三共株式会社)に基づいています。添付文書は改訂されることがあるため、最新版はPMDA 医療用医薬品 情報検索でご確認ください。硝酸剤との併用に関する注意の経緯は、医薬品・医療用具等安全性情報 No.149に収録されています。本記事は情報の整理を目的としたものであり、診断・処方を行うものではありません。

