結論ニンニクは指定医薬部外品の承認基準にあり、マカとシトルリンはありません。三つとも食薬区分では非医リストにあります。
この記事の要点
- ニンニクは、ビタミン含有保健剤製造販売承認基準の生薬の欄に掲げられているが、一般用医薬品のビタミン主薬製剤製造販売承認基準には掲げられていない
- マカ、シトルリン、オルニチンは、二つの承認基準にも、平成16年に一般用医薬品から医薬部外品へ移された品目の範囲にも、名称がない
- 食薬区分では、マカ(根)、ニンニク(鱗茎)、L-シトルリン、オルニチンが、医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質のリストに例示されている
- アルギニンは、ビタミン含有保健剤の承認基準にL-アルギニン塩酸塩として置かれ、食薬区分では専ら医薬品かどうかの判断から除かれるアミノ酸23種に含まれる
- 食品が「強精(強性)強壮」「精力をつける」といった効能効果をうたうと、医薬品的な効能効果の標ぼうとみなされる
- 同じ名前の成分が第3類医薬品・指定医薬部外品・食品のそれぞれに使われており、成分名から区分は決まらない
滋養強壮をうたう製品の成分欄には、にんにく、マカ、シトルリン、アルギニンといった名前が、医薬品か医薬部外品か食品かを問わず並んでいます。ただし、成分の名前が同じでも、その製品が置かれている制度まで同じとは限りません。
この記事では、成分ごとに、医薬部外品と一般用医薬品の承認基準に掲げられているか、食品との境界を定めた厚生労働省の通知(食薬区分)でどう例示されているか、栄養機能食品で機能を表示できる成分に含まれるかを、通知とリストの原文の記載だけで突き合わせます。
成分の効き方、有効性の強弱、研究報告は扱いません。
監修と利害関係について
本記事は株式会社京福堂の監修を受けています。監修の範囲は制度および成分に関する記述であり、掲載製品の選定・掲載順序には監修者は関与していません。株式会社京福堂は、当サイトが掲載している活力ケア製品の一部を販売している事業者で、本記事が扱う成分の一部を含む食品も販売しています。
成分の位置は、承認基準と食薬区分の二つの系統で確かめられる
ある成分が制度の上でどこに置かれているかを示す公的な文書は、二つの系統に分かれます。一つは医薬品・医薬部外品の側の承認基準で、品目群ごとに、有効成分として配合できるものを列挙しています。この記事で扱うのは、指定医薬部外品のビタミン含有保健剤製造販売承認基準(平成29年)と、一般用医薬品のビタミン主薬製剤製造販売承認基準(令和元年)です。
もう一つは、食品との境界を定めた厚生労働省の通知と、その別添にある成分のリストで、一般に食薬区分と呼ばれます。こちらは、ある成分本質(原材料)が医薬品にあたるかどうかの判断を例示したものです。両者は問いの立て方が違うため、成分の位置を確かめるには両方を見る必要があります。突き合わせた結果を、先に一覧にします。
| 成分 | ビタミン含有保健剤(別表9) | ビタミン主薬製剤(別表1) | 食薬区分 |
|---|---|---|---|
| 加工ダイサン(オキソアミジン) | Ⅺ欄(生薬) | Ⅺ欄1項 | 両リストにこの名称なし |
| ニンニク | Ⅺ欄(生薬) | 掲げられていない | 非医リスト(鱗茎) |
| 卵黄 | 名称なし | 名称なし | 「卵黄油」が非医リスト。レシチンの他名に「卵黄レシチン」 |
| マカ | 名称なし | 名称なし | 非医リスト(根) |
| シトルリン | 名称なし | 名称なし | 非医リスト(L-シトルリン) |
| オルニチン | 名称なし | 名称なし | 非医リスト |
| アルギニン | Ⅹ欄1項(L-アルギニン塩酸塩) | 名称なし | 判断の対象外とされるアミノ酸23種に含まれる |
| タウリン | Ⅹ欄1項 | 名称なし | 専ら医リスト |
この表は、それぞれの文書に名称があるかどうかを並べたもので、効果の有無や強さを示すものではありません。「名称なし」は、その文書の有効成分として掲げられていないという意味であり、その成分を含む製品が制度の上に存在しないという意味ではありません。
表の1行目の加工ダイサンについては、表記にも違いがあります。承認基準の表記は「オキソアミジン」で、製品の表示では「オキソアミヂン末」と書かれています。
医薬品・医薬部外品・食品という区分そのものの定義と承認の手続きは、区分ごとの定義と承認の手続きで扱っています。
ビタミン含有保健剤の承認基準に並ぶ生薬は34件で、マカは含まれていない
指定医薬部外品のうちビタミン含有保健剤の承認基準は、厚生労働省医薬・生活衛生局長通知「新指定医薬部外品の製造販売承認基準の一部改正について」(平成29年3月28日 薬生発0328第10号)の別紙「ビタミン含有保健剤製造販売承認基準」です。配合できる有効成分の範囲について、基準は次のように定めています。
なお、この基準に適合しないものにあっては、原則、医薬品として取り扱うこと。
ア 配合できる有効成分の種類は、別表9に掲げるものとする。
イ 配合しなければならない有効成分は、別表9のⅠ欄、Ⅱ欄又はⅢ欄に掲げるものとする。
ビタミン含有保健剤製造販売承認基準(平成29年3月28日 薬生発0328第10号 別紙)2、2(1)ア・イ
別表9は有効成分をⅠ欄からⅪ欄までに区分しており、生薬が置かれているのは末尾のⅪ欄です。この欄に掲げられている生薬は、次の34件です。
| 五十音の行 | 有効成分名 |
|---|---|
| ア行 | アセンヤク、ウイキョウ、オウセイ |
| カ行 | 加工ダイサン(オキソアミジン)、ガラナ、カンゾウ、クコシ、ケイヒ、コウジン |
| サ行 | サフラン、サンザシ、サンヤク、シゴカ、シャクヤク、シュクシャ、ショウキョウ、ジョテイシ、セイヨウサンザシ |
| タ行 | タイソウ、チョウジ、チンピ、トウキ、トシシ、トチュウ |
| ナ行 | ニクジュヨウ、ニンジン、ニンニク |
| ハ行 | ブクリョウ |
| マ行 | ムイラプアマ、モッコウ |
| ヤ行 | ヤクチ、ヨクイニン |
| ラ行 | リュウガンニク、ローヤルゼリー |
ニンニクはこの欄にありますが、マカ、シトルリン、オルニチン、卵黄の名称は、Ⅺ欄に限らず別表9のどの欄にも見当たりません。名称がない成分を有効成分とする製剤は、この基準に適合するビタミン含有保健剤にはなりません。ただし、言えるのは「この基準の有効成分として掲げられていない」というところまでです。
成分の一覧を含む通知は、ほかにもあります。厚生労働省医薬食品局長通知「一般用医薬品から医薬部外品に移行する品目の範囲について」(平成16年7月16日 薬食発第0716006号)で、生薬を主たる有効成分とする保健薬の範囲を別紙11に、ビタミンを含有する保健薬の範囲を別紙14に定めています。この別紙は承認基準ではなく、施行日の時点で一般用医薬品の承認を受けていた品目のうち、医薬部外品へ移行する範囲を定めたものです。
別紙11と別紙14にも、マカ、シトルリン、オルニチンの名称はありません。卵黄は単独の名称ではなく「卵黄油」の形で両方の別紙に現れ、アルギニンは「塩酸アルギニン」として別紙14にだけ現れます。
この欄に置かれている加工ダイサンの名称と、1日に配合できる分量の定めは、加工ダイサンが置かれた欄と1日分量で扱っています。
一般用医薬品のビタミン主薬製剤の基準では、生薬は6件でニンニクは入っていない
一般用医薬品の側にも、ビタミンを主体とする製剤の承認基準があります。厚生労働省医薬・生活衛生局長通知「ビタミン主薬製剤製造販売承認基準の一部改正について」(令和元年5月30日 薬生発0530第4号)の別紙で、令和元年6月1日以降に製造販売承認申請される品目に適用されます。生薬はこの基準の別表1 Ⅺ欄に置かれており、掲げられているのは6件です。
| 項 | 有効成分 |
|---|---|
| 1項 | 加工ダイサン(オキソアミジン) |
| 2項 | ニンジン |
| 3項 | ヨクイニン |
| 4項 | コウジン |
| 5項 | トウキ |
| 6項 | ボウイ |
ニンニク、マカ、シトルリンは、この6件に含まれていません。生薬の欄の件数は医薬部外品の側が34件、一般用医薬品の側が6件で、区分が医薬品であるほうが掲げられている成分が多いという関係にはなっていません。なお、この基準の2(1)タは、2項のニンジンと4項のコウジンの同時配合を認めていません。
ただし、この基準に掲げられていないことは、医薬品として承認されないことを意味しません。基準は、適合しない製剤の扱いを次のように定めています。
なお、ビタミン主薬製剤であって、この基準に適合しないものは、有効性、安全性及び配合理由についての資料の提出を求め、それに基づき審査する。
ビタミン主薬製剤製造販売承認基準(令和元年5月30日 薬生発0530第4号 別紙)2
実際に、濃縮熟成ニンニク抽出液を有効成分として表示している第3類医薬品があります。製品名は後の表⑦に示します。
一般用医薬品の承認基準は成分ごとに1日の分量を定めていますが、医療用医薬品の量は、添付文書の用法及び用量で定められています。その読み方は医療用医薬品の量が用法及び用量でどう定められているかで扱っています。
食品にあたるかどうかは、成分・形状・表示・用法用量を合わせて判断される
食品との境界の側では、厚生省薬務局長通知「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」(昭和46年6月1日 薬発第476号)の別紙「医薬品の範囲に関する基準」が判断の枠組みを定めています。以下、この通知を46通知と呼びます。本記事は、令和2年3月31日の改正(薬生発0331第33号)による改正後の本文に基づいています。
人が経口的に服用する物が、(略)第2条第1項第2号又は第3号に規定する医薬品に該当するか否かは、医薬品としての目的を有しているか、又は通常人が医薬品としての目的を有するものであると認識するかどうかにより判断することとなる。通常人が同項第2号又は第3号に掲げる目的を有するものであると認識するかどうかは、その物の成分本質(原材料)、形状(剤型、容器、包装、意匠等をいう。)及びその物に表示された使用目的・効能効果・用法用量並びに販売方法、販売の際の演述等を総合的に判断すべきものである。
医薬品の範囲に関する基準(昭和46年6月1日 薬発第476号 別紙)
判断は成分だけで決まるのではなく、同じ成分でも、表示や形状によって扱いが変わる構造になっています。
このうち成分の側の判断を例示したのが、厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課長通知「食薬区分における成分本質(原材料)の取扱いの例示」(令和2年3月31日 薬生監麻発0331第9号)の別添にある二つのリストです。最新の改正は令和8年8月5日(医薬監麻発0805第1号)で、改正通知自身が別添1を「専ら医リスト」、別添2を「非医リスト」と略しています。
専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト(専ら医リスト)
例示通知の別添1。このリストに該当する成分本質が配合または含有されている場合は、効能効果、形状及び用法用量の如何にかかわらず、原則として医薬品の範囲とされます。
医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リスト(非医リスト)
例示通知の別添2。専ら医リストに該当しない成分本質であっても、医薬品的な効能効果を標ぼうするもの、アンプル形状など専ら医薬品的形状であるもの、用法用量が医薬品的であるもののいずれかに該当すれば、原則として医薬品とみなされます。
二つのリストはいずれも「1.植物由来物等」「2.動物由来物等」「3.その他(化学物質等)」の3表で構成され、各表の見出しに「(例)」と付された例示です。
リストは例示であり、どちらにも載っていない成分もあります。46通知は、どちらのリストにも収載されていない成分本質を含む製品を輸入販売または製造する事業者は、あらかじめ資料を提出して判断を求めることができるとしています。リストに名称がないことは、医薬品か食品かがまだ判断されていないことを意味する場合があります。46通知と二つのリストは、厚生労働省の無承認無許可医薬品情報のページにまとめて掲載されています。
通知は、その物がどのような成分本質の物であるかを、表示や広告の内容に基づいて判断して差し支えないとしています。表示どおりの成分と量であるかを購入した側で確かめられるかについては、表示と中身が一致しているかを確かめる手段で扱っています。
マカ・シトルリン・ニンニクは、医薬品と判断しない側のリストに載っている
非医リストには、この記事で扱う成分の多くが例示されています。マカはリスト上ではレピディウム・マイエニイという名称で、部位は根です。ニンニクは部位が鱗茎とされています。シトルリンとオルニチンは「3.その他(化学物質等)」の表にあります。
| 本記事の成分名 | リストの表 | リスト上の名称 | 部位等 |
|---|---|---|---|
| マカ | 1.植物由来物等 | レピディウム・マイエニイ(他名等の欄に「マカ」) | 根 |
| ニンニク | 1.植物由来物等 | ニンニク | 鱗茎 |
| 卵黄 | 2.動物由来物等 | 卵黄油 | 卵黄の油 |
| 卵黄 | 3.その他(化学物質等) | レシチン(他名等の欄に「卵黄レシチン」) | — |
| シトルリン | 3.その他(化学物質等) | L-シトルリン | — |
| オルニチン | 3.その他(化学物質等) | オルニチン | — |
| ニンニクの成分 | 3.その他(化学物質等) | アリシン(備考の欄に「ニンニクの成分」) | — |
他名等の欄は、本記事で用いている成分名とリスト上の名称の対応を示すのに必要な行についてのみ記載しています。
卵黄と「にんにく卵黄」は、単独の名称としてはどちらのリストにもなく、現れるのは「卵黄油」と、レシチンの他名の「卵黄レシチン」です。承認基準に置かれている加工ダイサン(オキソアミジン)の名称も、どちらのリストにも見当たりません。
リストに載っていることの意味
46通知は非医リストについて、「医薬品の該当性を判断する際に参考とするために作成するものであり、食品としての安全性等の評価がなされたもののリストではないことに留意されたい」としています。非医リストに載っていることは、安全性が確かめられたことを示すものではありません。また、非医リストの原材料であっても、水、エタノール以外の溶媒で抽出した場合は、その抽出成分について改めて検討し、専ら医リストに収載すべきかどうかを評価するとされています。
一次確認した機能性表示食品の表示にも、医薬品を服用している場合は医師、薬剤師に相談するよう求める記載があります。受診の場で何が確認されるかは、服用中の薬を受診前に整理しておく理由で扱っています。
アルギニンは承認基準にあり、シトルリンは承認基準になく非医リストにある
アミノ酸系の成分は、成分ごとに置かれている位置が異なります。アルギニンは、ビタミン含有保健剤製造販売承認基準の別表9 Ⅹ欄1項に「L-アルギニン塩酸塩」として置かれ、1日最大分量300mg、1日最小分量30mgと定められています。
食薬区分の側では、46通知が専ら医薬品として使用される成分本質の考え方を示す箇所に注を付け、ビタミン、ミネラル類及びアミノ酸を除くとしています。除かれるアミノ酸は、次の23種です。
注1)ビタミン、ミネラル類及びアミノ酸(別紙参照)を除く。
○注1に規定するアミノ酸は、以下のとおりとする。
・アスパラギン、アスパラギン酸、アラニン、アルギニン、イソロイシン、グリシン、グルタミン、グルタミン酸、シスチン、システイン、セリン、チロシン、トリプトファン、トレオニン、バリン、ヒスチジン、4-ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリジン、フェニルアラニン、プロリン、メチオニン、リジン、ロイシン
医薬品の範囲に関する基準(昭和46年6月1日 薬発第476号 別紙)
23種にはアルギニンが含まれ、シトルリン、オルニチン、タウリンは含まれていません。アルギニンが非医リストにも専ら医リストにも名称がないのは、23種に含まれ、専ら医薬品にあたるかどうかの判断から除かれているためと整理できます。シトルリンとオルニチンは承認基準になく、非医リストに例示されています。タウリンは、承認基準のⅩ欄1項に置かれていながら、専ら医リストに載っています。
| 成分 | ビタミン含有保健剤の承認基準 | 46通知で判断の対象外とされるアミノ酸23種 | 非医リスト | 専ら医リスト |
|---|---|---|---|---|
| アルギニン | Ⅹ欄1項(L-アルギニン塩酸塩) | 含まれる | 名称なし | 名称なし |
| シトルリン | 名称なし | 含まれない | L-シトルリン | 名称なし |
| オルニチン | 名称なし | 含まれない | オルニチン | 名称なし |
| タウリン | Ⅹ欄1項 | 含まれない | 名称なし | タウリン |
承認基準は欄に「アミノ酸」という見出しを付けていないため、本記事では基準の区分どおり「Ⅹ欄1項」と呼んでいます。
Ⅹ欄1項のL-アルギニン塩酸塩を有効成分として表示している指定医薬部外品の例は、製品ごとのページのキューピーコーワゴールドA(興和株式会社/指定医薬部外品)で扱っています。
専ら医薬品リストの成分でも、医薬部外品の承認基準に置かれているものがある
専ら医リストに載っていることと、医薬部外品の有効成分になれないことは同じではありません。46通知は次のように述べています。
なお、例示通知掲げられた成分本質(原材料)であっても、医薬部外品として承認を受けた場合には、当該成分本質(原材料)が医薬部外品の成分として使用される場合がある。
医薬品の範囲に関する基準(昭和46年6月1日 薬発第476号 別紙)
タウリンがその例です。生薬のムイラプアマも、承認基準のⅪ欄に置かれ、食薬区分では部位によって扱いが分かれます。
| 成分 | 承認基準での位置 | 食薬区分での位置 |
|---|---|---|
| タウリン | ビタミン含有保健剤 別表9 Ⅹ欄1項 | 専ら医リスト(3.その他(化学物質等)) |
| ムイラプアマ | ビタミン含有保健剤 別表9 Ⅺ欄(生薬) | 根は専ら医リスト、地上部は非医リスト(リスト上の名称はプチコペタルム・ウンキナーツム、プチコペタルム・オラコイデス) |
食品に配合された成分が専ら医リストにあたる場合は、効能効果、形状、用法用量にかかわらず、原則として医薬品の範囲とされます。医薬部外品として承認された製品に同じ成分が配合されていることとは、別の手続きの話です。
専ら医リストの考え方には、「処方せん医薬品に相当する成分を含む物であって、保健衛生上の観点から医薬品として規制する必要性がある物」も含まれています。リストの「3.その他(化学物質等)」には、シルデナフィルやタダラフィルも載っています。
専ら医リストに載るシルデナフィルは、厚生労働省の買上調査で強壮系の健康食品からも検出されています。その調査の位置づけは強壮系の健康食品から医薬品成分が検出された買上調査で扱っています。
「強精強壮」「精力をつける」は、食品では医薬品的な効能効果として扱われる
46通知は、どのような表示が医薬品的な効能効果の標ぼうにあたるかも示しています。身体の組織機能を全般的に高めることをうたう表現は、その一つの類型として挙げられています。
その物の容器、包装、添付文書並びにチラシ、パンフレット、刊行物、インターネット等の広告宣伝物あるいは演述によって、次のような効能効果が表示説明されている場合は、医薬品的な効能効果を標ぼうしているものとみなす。また、名称、含有成分、製法、起源等の記載説明においてこれと同様な効能効果を標ぼうし又は暗示するものも同様とする。
(二) 身体の組織機能の一般的増強、増進を主たる目的とする効能効果
ただし、栄養補給、健康維持等に関する表現はこの限りでない。
(例) 疲労回復、強精(強性)強壮、体力増強、食欲増進、老化防止、勉学能力を高める、回春、若返り、精力をつける、新陳代謝を盛んにする、内分泌機能を盛んにする、解毒機能を高める、心臓の働きを高める、血液を浄化する、病気に対する自然治癒能力が増す、胃腸の消化吸収を増す、健胃整腸、病中・病後に、成長促進等
医薬品の範囲に関する基準(昭和46年6月1日 薬発第476号 別紙)2
暗示にあたるものの類型としては、名称又はキャッチフレーズ、含有成分の表示及び説明、製法の説明、起源・由来等の説明、新聞・雑誌等の記事や医師・学者等の談話等の引用の5つが挙げられています。
判定方法の(二)により、専ら医リストに該当しない成分だけでできた食品でも、医薬品的な効能効果を標ぼうすれば、原則として医薬品とみなされます。マカやニンニク、シトルリンが非医リストに載っていることは、こうした効能効果を表示してよいという意味ではありません。
同じ節は、栄養機能食品についてはその表示等を医薬品的な効能効果と判断しないこととして差し支えないとしています。指定医薬部外品の側では、ビタミン含有保健剤製造販売承認基準が定める効能又は効果の範囲に、性機能に関する表現は含まれていません。
本記事は通知の例示を原文で示すにとどめ、個々の製品の表示がこれにあたるかどうかの判断は扱いません。
勃起不全を効能又は効果として承認されているのは医療用医薬品であり、食品はこうした効能効果を表示できません。両者の違いはED治療薬と市販品を承認区分で分けた整理で扱っています。
栄養機能食品で機能を表示できる成分は20種で、マカやシトルリンは含まれない
食品の側で機能を表示できる範囲について、消費者庁は、特定保健用食品、栄養機能食品及び機能性表示食品以外の食品に、食品の持つ効果や機能を表示することはできないとしています(食品表示基準第9条)。三つの類型は、表示できる内容の決まり方がそれぞれ異なります。
栄養機能食品は、特定の栄養成分の補給のために利用される食品で、栄養成分の機能を表示するものです。個別の許可申請を行う必要がない自己認証制度とされています。消費者庁の栄養機能食品についてのページでは、機能の表示をすることができる栄養成分として、脂肪酸1種類(n-3系脂肪酸)、ミネラル6種類(亜鉛、カリウム、カルシウム、鉄、銅、マグネシウム)、ビタミン13種類(ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、葉酸)の計20種が示されています。
アミノ酸、マカ、シトルリン、ニンニクは、この20種に含まれていません。なお、各成分の上限値と下限値は令和8年10月に改定されているため、本記事では成分の名称のみを示しています。
機能性表示食品は、届出ごとに機能性関与成分が示される制度です。製品名に「にんにく卵黄」を含む機能性表示食品のうち、編集部が一次確認したものでは、届出された機能性関与成分はGABAでした。製品名にある原材料と、機能性の根拠になっている成分は、一致するとは限りません。製品名は後の表⑦に示します。
一次確認した機能性表示食品の表示には「本品は、疾病の診断、治療、予防を目的としたものではありません」とあります。体調の変化がどこから医療の対象になるかは、体調の変化がどこから医療の対象になるかの切り分けで扱っています。
同じ名前の成分が、医薬品・指定医薬部外品・食品にまたがって使われている
ここまでの制度の整理を、実際の製品の表示に当てはめます。一次確認した製品の表示成分を、成分の系統ごとに区分へ割り当てたのが次の表です。
掲載しているのは、承認区分と表示成分を製造販売元・販売元の公式表示で確認できた製品に限り、市販されている製品を網羅したものではありません。一つのセルに複数の製品がある場合は販売名の読みの五十音順で並べており、掲載順は評価の順ではありません。区分が異なるものを同じ表に置いているのは成分名と区分の対応を示すためであり、効果の強さや製品の優劣を比較したものではありません。配合量と効能又は効果は載せていません。「該当なし」は、一次確認した製品の範囲で該当がないという意味です。
| 成分の系統 | 第3類医薬品 | 指定医薬部外品 | 機能性表示食品 | いわゆる健康食品 |
|---|---|---|---|---|
| オキソアミヂン末 | キューピーコーワゴールドαプレミアム | キューピーコーワゴールドA/プロキオン | 該当なし | 該当なし |
| ニンニク(表示名:濃縮熟成ニンニク抽出液/にんにく卵黄末・粉末) | キヨーレオピンw | 該当なし | 伝統にんにく卵黄 極 | やずやのにんにく卵黄WILD |
| 卵黄(表示名:有精卵黄) | 該当なし | 該当なし | 伝統にんにく卵黄 極 | やずやのにんにく卵黄WILD |
| マカ(表示名:マカエキス粉末) | 該当なし | 該当なし | 該当なし | やずやのにんにく卵黄WILD |
| シトルリン | 該当なし | 該当なし | 該当なし | やずやのにんにく卵黄WILD |
| アルギニン(表示名:L-アルギニン塩酸塩/アルギニン) | キューピーコーワゴールドαプレミアム | キューピーコーワゴールドA | 該当なし | やずやのにんにく卵黄WILD |
区分は各製品の公式サイトの表示によります。
表を成分の側から読むと、オキソアミヂン末は第3類医薬品と指定医薬部外品に、アルギニンは第3類医薬品・指定医薬部外品・いわゆる健康食品に、ニンニクは第3類医薬品・機能性表示食品・いわゆる健康食品にまたがっています。マカとシトルリンは、一次確認した範囲では食品の表示にだけ現れます。
区分が成分量の目盛りではないのと同じように、成分の名前も区分の目印にはなりません。製品がどの区分にあるかは、成分欄ではなく、容器や包装の区分表示で確かめるものです。
表の指定医薬部外品の列にある製品の承認区分と表示成分は、製品ごとのページのプロキオン(株式会社京福堂/指定医薬部外品)でも扱っています。
よくある質問
Qマカやシトルリンは、医薬部外品の有効成分として認められていますか。
ビタミン含有保健剤製造販売承認基準の別表9にも、一般用医薬品のビタミン主薬製剤の基準にも名称はありません。平成16年に一般用医薬品から医薬部外品へ移された品目の範囲を定めた通知の別紙11と別紙14にもありません。ビタミン含有保健剤の基準は、適合しないものを原則として医薬品として取り扱うとしています。食薬区分では、マカ(根)とL-シトルリンが、医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リストに例示されています。
Qにんにくの有効成分は、制度の上でどう扱われていますか。
ニンニクは、滋養強壮の指定医薬部外品の承認基準に有効成分として掲げられ、食薬区分では非医リストに載っています。掲げられているのはビタミン含有保健剤製造販売承認基準の別表9 Ⅺ欄(生薬)で、一般用医薬品のビタミン主薬製剤製造販売承認基準の生薬の欄(6件)には掲げられていません。非医リストでの部位は鱗茎で、ニンニクの成分としてアリシンも別の行に載っています。効き方の強弱は、承認基準にも食薬区分にも書かれていません。
Q精力剤と医薬部外品は何が違うのですか。
「精力剤」は、医薬品医療機器等法と食品衛生法が定める区分の名称には含まれていません。指定医薬部外品は承認基準が定める範囲で効能又は効果を表示するもので、ビタミン含有保健剤の範囲に性機能に関する表現はありません。いわゆる精力剤と呼ばれる製品が食品である場合、医薬品の範囲に関する基準が「強精(強性)強壮」「精力をつける」を医薬品的な効能効果の例に挙げており、こうした効能効果を標ぼうすれば原則として医薬品とみなされます。
Qアルギニンは医薬品の成分ですか、食品の成分ですか。
アルギニンは、指定医薬部外品の承認基準と食薬区分の双方に現れる成分です。ビタミン含有保健剤製造販売承認基準の別表9 Ⅹ欄1項に、L-アルギニン塩酸塩として1日最大分量300mg、1日最小分量30mgで置かれています。食薬区分では、医薬品の範囲に関する基準が専ら医薬品かどうかの判断から除くとしたアミノ酸23種に含まれています。本記事で一次確認した製品の範囲では、第3類医薬品、指定医薬部外品、いわゆる健康食品のいずれにも表示されていました。
Q食薬区分の非医リストに載っている成分は、安全だということですか。
そうではありません。非医リストは医薬品にあたるかどうかの判断の参考として作られたもので、安全性の評価ではありません。医薬品の範囲に関する基準は、このリストについて、医薬品の該当性を判断する際に参考とするために作成するものであり、食品としての安全性等の評価がなされたもののリストではないことに留意するよう求めています。また、リストの原材料であっても、水、エタノール以外の溶媒で抽出した場合は、その抽出成分について改めて検討するとされています。
Qマカやシトルリンの機能を、栄養機能食品や機能性表示食品として表示できますか。
栄養機能食品で機能を表示できる20種の成分に、マカとシトルリンは含まれていません。20種の内訳は、n-3系脂肪酸、ミネラル6種、ビタミン13種です。機能性表示食品は届出ごとに機能性関与成分が示される制度で、表示の根拠は届出の内容によります。届出の有無と内容は、消費者庁の機能性表示食品の届出情報検索で確認できます。
まとめ
成分が制度の上でどこに置かれているかは、承認基準と食薬区分の二つの系統で確かめられます。承認基準は「その品目群に有効成分として配合できるもの」を列挙し、食薬区分は「医薬品にあたるかどうか」の判断を例示しており、両者は性格が異なります。
ニンニクは、ビタミン含有保健剤製造販売承認基準の生薬の欄に掲げられていますが、一般用医薬品のビタミン主薬製剤製造販売承認基準には掲げられていません。マカとシトルリンはどちらの基準にもなく、非医リストに例示されています。アミノ酸系の成分は成分ごとに位置が違い、アルギニンは承認基準にも46通知のアミノ酸23種にも入り、タウリンは承認基準にありながら専ら医リストに載っています。
食品が「強精(強性)強壮」「精力をつける」といった効能効果をうたうと、医薬品的な効能効果の標ぼうとみなされます。栄養機能食品で機能を表示できる成分は20種に限られ、マカやシトルリンは含まれていません。
承認基準に名称があることが示すのは「その品目群の有効成分として配合できる」という意味までで、リストに名称があることが示すのは「医薬品にあたるかどうかの判断の例示」という意味までです。リストへの掲載は安全性の評価ではありません。記載がないことを、否定の根拠としても肯定の根拠としても読み替えることはできません。製品がどの区分にあるかは、容器や包装の区分表示で確かめるものです。
本記事の記載は、厚生労働省医薬・生活衛生局長通知「新指定医薬部外品の製造販売承認基準の一部改正について」(平成29年3月28日 薬生発0328第10号)別紙「ビタミン含有保健剤製造販売承認基準」、厚生労働省医薬・生活衛生局長通知「ビタミン主薬製剤製造販売承認基準の一部改正について」(令和元年5月30日 薬生発0530第4号)別紙、厚生労働省医薬食品局長通知「一般用医薬品から医薬部外品に移行する品目の範囲について」(平成16年7月16日 薬食発第0716006号)別紙11・別紙14、「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」(昭和46年6月1日 薬発第476号)別紙「医薬品の範囲に関する基準」(令和2年3月31日 薬生発0331第33号による改正後のもの)、「食薬区分における成分本質(原材料)の取扱いの例示」(令和2年3月31日 薬生監麻発0331第9号、最終改正 令和8年8月5日 医薬監麻発0805第1号)別添1・別添2、消費者庁「栄養機能食品について」「機能性表示食品について」および機能性表示食品の届出情報検索に基づいています。製品の承認区分と表示成分は、キューピーコーワゴールドA、キューピーコーワゴールドαプレミアム(興和株式会社)、キヨーレオピンw(湧永製薬株式会社。独立行政法人医薬品医療機器総合機構「一般用医薬品・要指導医薬品 情報検索」で確認)、プロキオン(株式会社京福堂)、伝統にんにく卵黄 極(株式会社健康家族、機能性表示食品 届出番号 I343)、やずやのにんにく卵黄WILD(株式会社やずや)の各公式表示を2026年10月8日に確認したものです。本記事は情報の整理を目的としたものであり、製品の推奨・順位づけを行うものではありません。

