バイアグラの偽物はどのくらいの割合か、二つの調査の数値と分母を並べる

バイアグラの偽物はどのくらいの割合か、二つの調査の数値と分母を並べる

結論2016年に製薬4社が公表した合同調査では、個人輸入代行サイトから購入されたED治療薬70検体のうち28検体、40.0%が偽造品と判定されました。この40.0%は、購入された検体の中での割合です。

この記事の要点

  • 2016年の4社合同調査では、国内外の発注分合計70検体のうち28検体(40.0%)が偽造品と判定された
  • 内訳は国内発注分が45検体中16検体(35.6%)、タイ発注分が25検体中12検体(48.0%)である
  • 検体は個人輸入代行サイトから1サイトあたり各ブランド1検体を購入する方法で集められ、調査期間は2016年3月から8月である
  • 2009年の同じ調査と比べると、合計・国内発注分・タイ発注分のいずれも割合は下がっている
  • 厚生労働省の令和6年度買上調査では、海外製医薬品28製品から表示と異なる医薬品成分は検出されなかった
  • バイアグラとして日本で承認されているのは25mgと50mgの規格で、判定はいずれの調査でも含有成分の分析によって行われている

個人輸入で入手したバイアグラ(一般名:シルデナフィルクエン酸塩)にどのくらい偽物が混じっているのかという問いに対して、この記事では割合の数字そのものよりも、その数字がどの母数から出てきたのかを軸に整理します。参照するのは、国内で勃起不全治療薬を製造・販売する4社が2016年11月24日に公表した合同調査、厚生労働省が2026年3月31日に公表した令和6年度の買上調査、およびバイアグラ錠の添付文書(2024年7月改訂・第8版)です。見分け方の手順や、特定の販売サイトの評価は扱いません。

40.0%という数値は、70検体のうち28検体という意味である

「個人輸入したED治療薬の約4割が偽物」という数値は、2016年11月24日に4社が公表した合同調査に由来します。4社とは、ファイザー株式会社、バイエル薬品株式会社、日本新薬株式会社、日本イーライリリー株式会社です。公表資料には次のように記載されています。

日本およびタイの調査会社に依頼して発注、入手したED治療薬を鑑定した結果、国内外の発注分合計で約4割(40.0%、28/70)が偽造品であることが判明しました。国内発注分で約4割(35.6%、16/45)、タイでの発注分では約5割(48.0%、12/25)が偽造品でした。

偽造ED治療薬4社合同調査結果(2016年11月24日発表)より

割合と併せて分母が示されている点が、この調査の資料の特徴です。数字を整理すると次のようになります。

表① 2016年の調査における発注地別の内訳
発注地鑑定された検体数偽造品と判定された検体数割合
国内外の合計702840.0%
国内で発注451635.6%
タイ国内で発注251248.0%

公表資料には、数値はすべて小数点第2位以下を四捨五入している旨の注記が付されています。

ここで確認しておく必要があるのは、40.0%が何に対する割合なのかという点です。これは調査のために購入された70検体の中での割合であり、市場に流通しているすべての製品に対する割合ではありません。同じように、35.6%は国内から発注した45検体の中での値、48.0%はタイ国内で発注した25検体の中での値です。分母が45と25と小さいため、1検体の増減が割合に与える影響も相応に大きくなります。

この調査が対象としたのは個人輸入代行サイトから購入された検体であり、国内で処方を受けて入手する経路とは別の系統にあたります。国内での入手経路と価格の決まり方は、正規の入手経路と価格の決まり方で扱っています。

検体はどのように集められたか

割合を読むうえで、検体の集め方は分母と同じ重みを持ちます。公表資料は調査方法を次のように記載しています。

日本とタイの調査会社に依頼し、「バイアグラ」、「レビトラ」、「シアリス」を扱う(実質販売している)「個人輸入代行」業者のネットサイトから、1サイトごと各ブランド1サンプル(合計15サンプル)ずつ、合計各ブランド30サンプル(日本、タイで各々15サンプル)を目標に購入しました(結果的には未着分があり、各ブランドでサンプル数は異なっています)。

偽造ED治療薬4社合同調査結果(2016年11月24日発表)調査方法より

この記載から読み取れることが三つあります。第一に、1つのサイトから同じブランドを何錠も買うのではなく、1サイトあたり各ブランド1検体という設計になっていることです。第二に、目標としていた検体数は各ブランド30ですが、注文したものが届かない未着分があったため、実際の検体数はブランドごとに異なっていることです。第三に、鑑定の対象は3つのブランドに限られており、後発医薬品として販売されている製品は対象になっていないことです。

調査期間は2016年3月から8月までの6か月間です。発注先のサイトについては、いずれの国の調査でも日本語で運営されている個人輸入代行サイトが対象であり、発注したサイトはすべて日本人向けに作成され、言語は日本語、振込先は日本になっていたと記載されています。タイでの調査は、調査員がタイを訪問している日本人を装って発注し、タイ国内の住所に送付された製品を鑑定する形で行われました。

タイが調査対象に選ばれた理由についても、資料に説明が置かれています。日本人がタイで偽造医薬品を販売したとして起訴されている事件、およびタイから日本に偽造品を輸入して摘発された事件が両国で発覚していること、日本人がタイで偽造ED治療薬の販売に関与した事例や購入した事例が各社に報告されていることが挙げられています。つまりタイは、偽造品の関与が確認されている地域として意図的に選ばれた対象であり、海外を代表する平均的な地点として選ばれたものではありません。

鑑定の対象となった3ブランドは、いずれも国内では医師の処方箋を必要とする医療用医薬品です。この区分が承認時にどのように定められたのかは、承認時に定められた規制区分と警告の内容で扱っています。

2009年の調査と並べると、三つとも割合は下がっている

この調査は2009年に続く2回目にあたり、公表資料には2009年の数値も併記されています。同じ区分で並べると次のようになります。

表② 2009年と2016年で偽造品と判定された割合
区分2009年2016年
国内外の合計55.4%(n=184)40.0%(28/70)
国内で発注43.6%(n=94)35.6%(16/45)
タイ国内で発注67.8%(n=90)48.0%(12/25)

三つの区分のいずれも、2016年の値は2009年より低くなっています。下がり幅が最も大きいのはタイ国内での発注分です。公表資料のまとめの項にも、次の記載があります。

今回の調査により、2009年時と比べ、数は減少しているものの、未だにネットで入手するED治療薬には多くの偽造品が流通している実態がわかりました。

偽造ED治療薬4社合同調査結果(2016年11月24日発表)まとめより

ただし2009年と2016年では検体数が大きく異なります。2009年は合計184検体、2016年は合計70検体です。同じ調査主体による同じ趣旨の調査ではありますが、規模が3分の1程度に変わっているため、割合の差をそのまま推移として扱えるかどうかには幅があります。資料自身も「数は減少しているものの」という書き方にとどめており、原因や背景の説明は置かれていません。

2009年の数値と2016年の数値は取り違えられやすい

2009年の合計は55.4%、2016年の合計は40.0%です。「半数以上が偽造品」という表現は2009年の調査に対応するもので、2016年の調査の結果ではありません。数値を参照する際は、何年の調査のどの区分の値なのかを確認する必要があります。

添付文書に記載されている副作用の頻度は、承認された製品について実施された臨床試験で得られた値です。成分と含有量が確認されていない製品に、そのまま当てはめられるものではありません。承認された製品について報告されている頻度と経過は、添付文書に記載された副作用の頻度と経過で扱っています。

10年後の公的調査では、海外製医薬品から偽造品は見つかっていない

4社合同調査は2016年の調査です。10年前の数値を現在の状況として扱えるかどうかを確かめるには、より新しい調査を並べる必要があります。厚生労働省は平成23年度から、海外のインターネットサイトで日本国内向けに販売されている製品を買い上げ、含有成分を分析する買上調査を実施しています。この調査は、個人輸入により国内に流入する偽造医薬品等の状況を把握することを目的として実施されているものです。直近の結果は令和6年度分で、2026年3月31日に公表されました。

買上期間は令和6年8月から9月にかけてで、買い上げられたのは合計46製品です。結果は次のとおりです。

表③ 令和6年度の買上調査における買上数と検出数
区分買上数医薬品成分検出数
いわゆる健康食品(強壮系)101
いわゆる健康食品(痩身系)81
海外製医薬品280

海外製医薬品の欄の数え方については、資料に注記が置かれています。

「海外製医薬品」の区分の場合、表示とは異なる医薬品成分が検出された製品の件数。偽造医薬品と疑われる製品は発見されなかった。

厚生労働省「令和6年度『インターネット販売製品の買上調査』の結果について」注記より

つまり海外製医薬品の28製品については、表示と異なる医薬品成分が検出された製品はなく、偽造医薬品と疑われる製品も発見されなかったという結果です。4社合同調査の40.0%とは逆方向の結果にあたります。

一方で、いわゆる健康食品の区分では、強壮系10製品のうち1製品、痩身系8製品のうち1製品から医薬品成分が検出されています。同じ調査の中で、医薬品として販売されている製品と、食品として販売されている製品とで、確認された内容が分かれた形です。

この調査が買上数を「いわゆる健康食品」と「海外製医薬品」に分けているのは、両者が制度上の別の区分に置かれているためです。区分ごとに何が定められているのかは、承認区分ごとの効能又は効果の範囲で扱っています。調査結果の詳細は、厚生労働省の令和6年度「インターネット販売製品の買上調査」の結果についてに掲載されています。

二つの調査は、同じものを測っていない

40.0%と0件を並べて「10年で偽造品が減った」と読むことはできません。二つの調査は、対象も方法も判定の内容も異なるためです。

表④ 二つの調査で異なる点
項目4社合同調査買上調査
実施主体製造販売元4社厚生労働省
公表2016年11月24日2026年3月31日(令和6年度分)
購入した時期2016年3月から8月令和6年8月から9月
対象3ブランドのED治療薬海外製医薬品28製品といわゆる健康食品18製品
購入元日本語で運営されている個人輸入代行サイト日本国内向けに販売されているインターネットサイト
判定の内容各社による真贋の鑑定と含有成分の分析含有成分の分析
結果70検体中28検体が偽造品海外製医薬品28製品から表示と異なる医薬品成分の検出なし

4社合同調査は、自社が製造している製品の真贋を製造販売元自身が鑑定したものです。ブランドを3つに限定しているため、その3ブランドとして販売されていた製品がどうであったかを示しています。買上調査は成分の分析を行うもので、対象はED治療薬に限られていません。海外製医薬品28製品の中身の内訳は公表資料に示されていないため、そのうち何製品がED治療薬であったかは資料からは読み取れません。

買上調査の資料には、結果の読み方についての注記も置かれています。

本調査の結果は、同じ名称の製品が、同じ医薬品成分・量を含有することを保証するものではありません。いわゆる健康食品や海外製医薬品は、同じ名称の製品であっても、成分や量が異なる場合があり、使用により予期せぬ健康被害が発生するおそれがあります。

厚生労働省「令和6年度『インターネット販売製品の買上調査』の結果について」その他の注意事項より

この注記は、検出されなかったという結果についても同じように働きます。ある製品名で買い上げた28製品から検出されなかったことは、同じ製品名で販売されている別の個体が同じ成分と量であることを示すものではない、という意味になります。個々の製品ではなく製品名の単位で結果を一般化できないという点が、この調査の資料自身によって示されています。

成分と含有量が表示どおりであることを確認できない製品では、服用してよいかどうかを判断する前提そのものが置けません。とくに血圧に関わる薬を服用している場合の判断の分かれ方は、禁忌と併用注意の分かれ方で扱っています。

偽造品として確認された中身は、四つに分かれる

偽造品と判定された検体に何が入っていたのかについても、4社合同調査は記載を残しています。

これらの偽造品の成分分析結果や品質には、ばらつきがあり、有効成分含有量が承認用量を超過あるいは不足、または全く含まれないもの、他の成分あるいは複数の不純物が含まれるものが確認できました。

偽造ED治療薬4社合同調査結果(2016年11月24日発表)まとめより

この一文が挙げているのは、次の四つの状態です。

表⑤ 成分分析で確認された状態
確認された状態内容
承認用量を超過有効成分の含有量が、承認されている用量を上回っている
承認用量に不足有効成分の含有量が、承認されている用量に足りていない
まったく含まれない有効成分が含まれていない
他の成分・不純物他の成分、あるいは複数の不純物が含まれている

この表は品質の良し悪しを段階で示したものではなく、確認された状態の種類を並べたものです。四つのうち三つは有効成分の量に関するもので、残る一つは表示にない成分が入っていた場合にあたります。

ここで注意が要るのは、四つの状態がいずれも外側からは判別できないという点です。含有量が多い場合も少ない場合も、まったく含まれない場合も、錠剤の外観に差が現れるとは限りません。他の成分が含まれている場合も同じです。

添付文書は、併用してはならない薬剤と併用に注意すべき薬剤を、成分名と薬効群の名前で定めています。表示と異なる成分が含まれている場合、この照合そのものが成立しません。照合の対象になる薬剤の全体像は、添付文書が定める併用禁忌と併用注意で扱っています。

日本で承認されているのは、25mgと50mgの規格である

表示されている規格は、外観よりも先に確認できる項目です。バイアグラとして日本で承認されているのは次の4品目で、いずれも添付文書に承認番号が記載されています。

表⑥ 日本で承認されているバイアグラの規格
販売名規格承認番号
バイアグラ錠25mg25mg21100AMZ00053
バイアグラ錠50mg50mg21100AMZ00054
バイアグラODフィルム25mg25mg22800AMX00667
バイアグラODフィルム50mg50mg22800AMX00668

この表は効果の強さを比較したものではありません。承認されている規格を並べたものであり、用量の大小が効き目の差を示すものではありません。

添付文書が定める用法及び用量も、この範囲と対応しています。通常、成人には1日1回25mgから50mgを性行為の約1時間前に経口投与することとされ、あわせて日本での承認用量は1日1回25mgから50mgである旨の注記が置かれています。100mgという規格は、日本で承認されている規格には含まれていません。

表示のされ方については、4社合同調査にも記載があります。偽造品は先発品に極めて外見が類似しているものが多く、インターネット上では「本物である」あるいは「海外製のジェネリック医薬品である」と偽って販売されているとされています。表示されている内容そのものが、正規品に似せられる対象になっているという指摘です。

用量に関して添付文書が定めている条件は、1回あたりの量だけではありません。1日の回数、服用のタイミング、投与間隔がそれぞれ独立した条件として書かれています。定められている範囲の全体は、用法及び用量に定められた範囲で扱っています。

成分と含有量を確かめる手段は、購入した側にはない

ここまで見てきた二つの調査に共通しているのは、判定が分析によって行われている点です。4社合同調査では各社が真贋の鑑定と含有成分の分析を行い、買上調査では買い上げた製品について含有成分の分析が行われています。いずれも、外観を見て判定したものではありません。

買上調査の資料は、事業の概要の項で、海外で流通している製品のうち、いわゆる健康食品であって医薬品成分が含まれているもの、海外製医薬品であって含有成分量に過不足又は表示と異なる成分が含まれているものがあり、これらが原因と考えられる健康被害が発生していると記載しています。含有成分量の過不足と、表示と異なる成分が、確認の対象として並べられている形です。

外観に不自然な点がないことは、成分の確認にはならない

刻印、色、錠剤の断面、包装の印刷といった外観の項目は、偽造品の側でも正規品に似せられる対象として挙げられています。仮に外観の確認で不自然な点が見つからなかったとしても、有効成分の含有量が表示どおりであること、表示にない成分が含まれていないことの確認にはなりません。この二つを確かめるには成分の分析が必要であり、購入した側の手元でできることではありません。

この点は、服用したあとについても同じです。体調に変化があった場合に、その原因が何であったのかを手元で確かめる方法はありません。効果が感じられなかった場合も同様で、成分が入っていなかったのか、別の要因によるものなのかを区別する手段はないことになります。

服用後に体調の変化があった場合や、持病や服薬中の薬がある場合に、どのようなときが医療機関で相談する対象になるのかは、受診が必要かどうかの判断で扱っています。

よくある質問

Q個人輸入したバイアグラは、どのくらいの割合で偽物なのですか。

2016年に製薬4社が公表した合同調査では、個人輸入代行サイトから購入した70検体のうち28検体、40.0%が偽造品と判定されました。内訳は国内発注分が45検体中16検体で35.6%、タイ発注分が25検体中12検体で48.0%です。この割合は購入された検体の中での割合であり、流通しているすべての製品に当てはめられるものではありません。

Qその40.0%という数値は、今も同じですか。

この調査の調査期間は2016年3月から8月で、公表は同年11月24日です。10年前の調査にあたります。より新しい公的調査としては、厚生労働省が2026年3月31日に公表した令和6年度の買上調査があり、海外製医薬品28製品から表示と異なる医薬品成分は検出されず、偽造医薬品と疑われる製品は発見されなかったとされています。ただし二つの調査は対象も方法も判定の内容も異なるため、割合がこの水準まで変化したことを示すものではありません。

Qタイで購入すると偽物が多いのですか。

2016年の調査では、タイ国内で発注した25検体のうち12検体、48.0%が偽造品と判定されました。2009年の同じ調査では90検体中67.8%です。ただしタイは、日本人が偽造ED治療薬の販売に関与した事例や購入した事例が報告されている地域として意図的に選ばれた調査対象であり、海外を代表する地点として選ばれたものではありません。また対象となったのはタイ語のサイトではなく、日本語で運営され振込先が日本国内にある個人輸入代行サイトです。

Q偽物はどうすれば見分けられますか。

外観からは判別できません。4社合同調査は、偽造品には先発品に極めて外見が類似しているものが多く、インターネット上では本物である、あるいは海外製のジェネリック医薬品であると偽って販売されているとしています。二つの調査でも、判定は含有成分の分析によって行われています。外観に不自然な点が見つからなかったことは、有効成分の含有量が表示どおりであることの確認にはなりません。

Q偽造品には何が入っていたのですか。

4社合同調査は、有効成分含有量が承認用量を超過あるいは不足しているもの、まったく含まれないもの、他の成分あるいは複数の不純物が含まれるものが確認できたとしています。厚生労働省の買上調査も、海外製医薬品について含有成分量の過不足と表示と異なる成分を確認の対象に挙げています。いずれの状態も、錠剤の外観からは判別できません。

Q100mgのバイアグラは本物ですか。

バイアグラとして日本で承認されているのは、錠25mg、錠50mg、ODフィルム25mg、ODフィルム50mgの4品目です。100mgという規格は日本で承認されている規格には含まれていません。添付文書が定める用法及び用量は1日1回25mgから50mgで、承認用量は1日1回25mgから50mgである旨の注記も置かれています。

まとめ

個人輸入したED治療薬にどのくらい偽物が混じっているのかという問いに対して、公表されている数値は40.0%です。ただしこれは、2016年3月から8月にかけて個人輸入代行サイトから購入された70検体のうち28検体という意味であり、流通しているすべての製品に対する割合ではありません。国内発注分は45検体中16検体、タイ発注分は25検体中12検体です。

検体は1サイトあたり各ブランド1検体を購入する方法で集められ、対象は3ブランドに限られ、未着分があったためブランドごとの検体数も揃っていません。タイは偽造品の関与が報告されている地域として意図的に選ばれています。2009年の同じ調査と比べると三つの区分のいずれも割合は下がっていますが、検体数が184から70へ変わっているため、差をそのまま推移として扱えるかどうかには幅があります。

より新しい公的調査である令和6年度の買上調査では、海外製医薬品28製品から表示と異なる医薬品成分は検出されず、偽造医薬品と疑われる製品も発見されませんでした。この結果は40.0%とは逆方向ですが、二つの調査は対象も方法も判定の内容も異なります。買上調査の資料自身も、結果は同じ名称の製品が同じ成分と量を含有することを保証するものではないとしています。

偽造品として確認された中身は、有効成分の量が承認用量を超過している場合、不足している場合、まったく含まれない場合、他の成分や不純物が含まれる場合の四つに分かれます。いずれも外観からは判別できません。二つの調査とも、判定は含有成分の分析によって行われています。バイアグラとして日本で承認されているのは25mgと50mgの規格ですが、表示そのものが正規品に似せられる対象になっているため、成分と含有量を確かめる手段は購入した側にはないことになります。

本記事の記載は、「偽造ED治療薬4社合同調査結果」(2016年11月24日発表、ファイザー株式会社・バイエル薬品株式会社・日本新薬株式会社・日本イーライリリー株式会社)、厚生労働省「令和6年度『インターネット販売製品の買上調査』の結果について」(2026年3月31日公表)、およびバイアグラ錠25mg/バイアグラ錠50mg/バイアグラODフィルム25mg/バイアグラODフィルム50mg 添付文書(2024年7月改訂・第8版、製造販売元:ヴィアトリス製薬合同会社)に基づいています。添付文書は改訂されることがあるため、最新版はPMDA 医療用医薬品 情報検索および各出典元でご確認ください。本記事は情報の整理を目的としたものであり、診断・処方を行うものではありません。