バイアグラが効かないとき、量を増やしてよいか、用法用量から確認する

バイアグラが効かないとき、量を増やしてよいか、用法用量から確認する

結論バイアグラの用法及び用量は1日1回25mg〜50mg、投与間隔は24時間以上と定められており、効果が得られないことを理由に量を増やしてよいという記載は添付文書にありません。添付文書には100mgおよび150mgの薬物動態データが掲載されていますが、その掲載箇所にはいずれも、日本での承認用量は1日1回25mg〜50mgであるという注記が付されています。

この記事の要点

  • 用法及び用量に定められているのは量だけではなく、1日の回数、服用のタイミング、投与間隔の四つである
  • 高齢者(65歳以上)、肝障害のある患者、重度の腎障害のある患者については、25mgを開始用量とすることが定められている
  • 添付文書に掲載された100mg・150mgのデータには、日本での承認用量は1日1回25mg〜50mgであるという注記が付されている
  • 食事について添付文書が記載しているのは「効果発現時間が遅れることがある」であり、効果が消えるとは記載されていない
  • 相互作用の項に飲食物を対象とする行は置かれていないが、これは確認が不要であることを意味しない
  • 他のPDE5阻害薬や勃起不全治療薬との併用は、併用禁忌ではなく「併用使用に関する安全性は確立していない」として9.1.4に置かれている

バイアグラ(一般名:シルデナフィルクエン酸塩)を服用しても効果が感じられないとき、量を増やすという選択が頭に浮かびます。この記事では、その判断の材料になる記載が添付文書のどこにあるのかを、バイアグラ錠の添付文書(2024年7月改訂・第8版)の「6. 用法及び用量」「7. 用法及び用量に関連する注意」「9. 特定の背景を有する患者に関する注意」「16. 薬物動態」から整理します。効果が出ない原因を特定するための記事ではなく、添付文書に何が定められていて、何が定められていないのかを分ける記事です。

用法及び用量に定められているのは、量だけではない

「量を増やしてよいか」という問いに向き合う前に、用法及び用量として何が定められているかを確認しておきます。添付文書の6.は、三つの段落で構成されています。

通常、成人には1日1回シルデナフィルとして25mg〜50mgを性行為の約1時間前に経口投与する。

高齢者(65歳以上)、肝障害のある患者及び重度の腎障害(Ccr<30mL/min)のある患者については、本剤の血漿中濃度が増加することが認められているので、25mgを開始用量とすること。

1日の投与は1回とし、投与間隔は24時間以上とすること。

バイアグラ錠25mg/50mg、バイアグラODフィルム25mg/50mg 添付文書 6.用法及び用量より

この三段落から取り出せる要素は、量だけではありません。1回あたりの量、1日の回数、服用のタイミング、次の服用までの間隔という四つが、それぞれ独立した条件として書かれています。

表① 用法及び用量に定められている四つの要素
要素添付文書の記載
1回あたりの量シルデナフィルとして25mg〜50mg。高齢者(65歳以上)、肝障害のある患者、重度の腎障害(Ccr<30mL/min)のある患者は25mgを開始用量とする
1日の回数1日1回。1日の投与は1回とする
服用のタイミング性行為の約1時間前に経口投与する
投与間隔24時間以上とすること

効果が感じられなかったという経験は、このうちどの条件のもとで起きたのかによって意味が変わります。約1時間前という記載に対して直前に服用していた場合と、条件を満たしていた場合とでは、同じ「効かなかった」という言葉が指しているものが違うということです。添付文書は、量を動かす前に確認する対象として、量以外の三つの条件を同じ項に並べています。

ここに現れる25mgという値は、相互作用の項にも同じ数値で登場します。併用注意に置かれたチトクロームP450 3A4阻害薬とα遮断剤の欄には、措置方法として「低用量(25mg)から投与を開始するなど慎重に投与すること」と記載されています。相互作用の項の全体像は、併用できない薬の確認で扱っています。

100mgと150mgのデータには、すべて承認用量の注記が付いている

添付文書の16.薬物動態には、100mgや150mgを投与したときの数値が掲載されています。16.1.1の単回投与では25mg、50mg、100mg、150mgの四用量、16.1.2の連続投与では50mgと100mg、16.5の排泄では10mgから150mgまでの六用量が対象です。

これらの用量には、いずれも注記の印が付いています。注記の内容は一つです。

注)本剤の日本での承認用量は1日1回25mg〜50mgである。

バイアグラ錠25mg/50mg、バイアグラODフィルム25mg/50mg 添付文書 16.薬物動態の注記より

同じ趣旨の記載は、17.臨床成績にも置かれています。有効性の評価に用いられた国内・欧州・米国の試験は100mg群を含む四群比較で実施されており、添付文書はその点を明記したうえで、日本での承認用量は1日1回25mg〜50mgであると括弧書きで添えています。

つまり、100mgや150mgという数値が添付文書に載っていること自体は事実ですが、それらは承認された用量として載っているのではありません。承認番号が与えられているのは、バイアグラ錠25mg、バイアグラ錠50mg、バイアグラODフィルム25mg、バイアグラODフィルム50mgの四製剤で、いずれも1製剤あたりの含量は25mgまたは50mgです。

データが載っていることと、増量してよいことは別である

添付文書に100mgの薬物動態が掲載されていることは、その用量で投与してよいという意味ではありません。注記は、データが掲載されている箇所すべてに付されています。用量を変える判断は、6.が「開始用量」という語で処方する側に向けて書いているとおり、診察のうえで行われることが前提に置かれています。

承認用量の外側で起きた事象についても、添付文書は記載を持っています。15.1.3が引用する外国の市販後自発報告には、100mg投与例が含まれることが明記されています。この報告の内容と、投与前に確認することとされている事項は、警告と禁忌からの確認で扱っています。

食事について定められているのは、効果発現時間が遅れることがあるという記載

効かなかった原因として最も多く挙げられるのが食事です。添付文書で食事に触れているのは、7.用法及び用量に関連する注意の一文だけです。

食事と共に本剤を投与すると、空腹時に投与した場合に比べ効果発現時間が遅れることがある。

バイアグラ錠25mg/50mg、バイアグラODフィルム25mg/50mg 添付文書 7.用法及び用量に関連する注意より

この一文は16.2.1を参照先として示しています。16.2.1は、健康成人16名にシルデナフィル50mgを食後または空腹時に単回経口投与して比較した試験です。最高血漿中濃度到達時間は食後投与で3.0時間、空腹時投与で1.2時間となり、食後投与により1.8時間の延長が認められています。最高血漿中濃度は食後投与で149ng/mL、空腹時投与で255ng/mLで、42%の減少です。血漿中濃度-時間曲線下面積の減少は14%と記載されています。

ここで注目したいのは、7.の書き方です。記載されているのは「効果発現時間が遅れることがある」であり、効果が失われるとも、効かなくなるとも書かれていません。16.2.1の数値も、吸収の速度が落ちることを中心に示しています。体内に入る総量にあたる血漿中濃度-時間曲線下面積の減少は14%にとどまっており、最高血漿中濃度の42%とは差があります。

添付文書に記載されていないこと

食後にどれだけ時間を空ければよいか、どのような内容の食事であれば影響が小さいか、脂質の量がどう関係するかについて、添付文書は記載を持っていません。7.と16.2.1にあるのは、食事と共に投与した場合に効果発現時間が遅れること、および50mgを用いた試験で得られた数値です。それ以外の条件について、添付文書の側から言えることはありません。

16.2.1の数値は、効果の現れ方だけでなく、血管拡張に伴う症状が現れる時間帯にも関わります。血中濃度の推移と症状の経過の関係は、頭痛や顔の赤みの経過で扱っています。

相互作用の項に、飲食物を対象とする行は置かれていない

アルコールや特定の果汁について、飲み合わせを心配される方が多い部分です。添付文書の10.相互作用は、10.1の併用禁忌に三つの区分、10.2の併用注意に五つの区分を置いていますが、この八つの区分はいずれも医薬品の名称または薬効群の名称で示されています。飲食物を対象とする行は置かれていません。

10.の冒頭には、本剤が主にチトクロームP450(CYP)3A4によって代謝されることが記載され、16.4を参照先としています。16.4は、シルデナフィルが主として肝臓で代謝され、主要代謝物の生成速度はCYP3A4が最も速く、次いでCYP2C9であったと記載しています。10.2の一つ目に置かれているCYP3A4阻害薬という区分は、この代謝経路に対応するものです。

記載がないことは、確認が不要であることを意味しない

相互作用の項に飲食物の行がないことは、飲食物について確認しなくてよいという意味ではありません。添付文書は処方と調剤に必要な事項を定められた様式で記載する文書であり、個々の食品や飲料についての判断を書き並べる様式ではないためです。気になる飲食物がある場合、記載の有無を根拠に自分で結論を出すのではなく、処方を受ける場で確認する対象になります。

効果が得られない状態が、服用の条件によるものか、別の要因によるものかは、添付文書の記載の側からは判定できません。どのような場合に医療機関での確認が対象になるかは、受診が必要かどうかの判断にまとめています。

定められているのは増量ではなく、開始用量を下げる条件

ここまで見てきたとおり、添付文書には量を増やす方向の記載がありません。一方で、量を下げる方向の記載は複数あります。9.特定の背景を有する患者に関する注意には、開始用量に関する定めが三か所置かれています。

表② 開始用量および投与の可否に関する9.の記載
項番対象となる患者添付文書の記載
9.2.1重度の腎障害(Ccr<30mL/min)のある患者低用量(25mg)から投与を開始するなど慎重に投与すること。血漿中濃度が増加することが認められている
9.3.1重度の肝機能障害のある患者投与しないこと
9.3.2肝機能障害のある患者(重度の肝機能障害のある患者を除く)低用量(25mg)から投与を開始するなど慎重に投与すること。血漿中濃度が増加することが認められている
9.8高齢者低用量(25mg)から投与を開始するなど慎重に投与すること。高齢者では本剤のクリアランスが低下する

この三つの条件は、6.の第二段落にも同じ形で現れます。用法及び用量そのものの中に、開始用量を25mgとする対象が書き込まれているということです。9.3.1の重度の肝機能障害は、開始用量を下げるのではなく投与しないこととされており、2.禁忌にも同じ内容が置かれています。

低用量から開始するという記載の読み方

低用量から開始することが定められているのは、表②に挙げた条件に該当する患者に対してです。これに該当しないことは、上限まで増やしてよいという意味ではありません。9.が定めているのは開始用量であり、その後の用量をどう扱うかを患者側の判断に委ねる記載にはなっていません。

患者側の状態が、開始用量ではなく投与の可否そのものを決める例もあります。血圧の数値を条件とする禁忌がその一つで、高い側と低い側の双方に定めがあります。詳細は血圧の薬と禁忌・併用注意の区分で扱っています。

他の勃起不全治療薬を足すという選択は、9.1.4に置かれている

量を増やす以外の選択として、別のED治療薬を併せて飲む、市販の製品を上乗せするという方法が語られることがあります。前者について、添付文書には該当する記載があります。

9.1.4 PDE5阻害薬又は他の勃起不全治療薬を投与中の患者

併用使用に関する安全性は確立していない。

バイアグラ錠25mg/50mg、バイアグラODフィルム25mg/50mg 添付文書 9.1.4より

置かれている場所に注意が必要です。この記載は10.1の併用禁忌ではなく、9.1の合併症・既往歴等のある患者の中にあります。10.1の併用禁忌に挙がっているのは、硝酸剤及びNO供与剤、アミオダロン塩酸塩(経口剤)、sGC刺激剤のリオシグアトの三つで、PDE5阻害薬はこの三つに含まれていません。

ただし、9.1.4が「安全性は確立していない」と記載していることは、併用してよいという意味ではありません。安全性が確立していないという表現は、確かめられていないという状態を指すものであり、確かめた結果として問題がなかったことを指すものではないためです。

市販の製品を上乗せするという選択については、添付文書に記載がありません。ED治療薬は医師の処方を前提とした医療用医薬品であり、市販の活力ケア製品は承認区分が異なり、承認されている効能又は効果の範囲も異なります。両者は同じ物差しの上に並ぶ関係ではないため、一方が足りない分を他方が補うという形は制度の上に存在しません。

承認区分ごとに、承認されている効能又は効果の範囲がどう違うかは、承認区分による整理で扱っています。

添付文書が挙げているのは、効かない原因ではなく確認される背景

9.1には、開始用量とは別の観点で疾患名が挙がっている項目があります。9.1.2は陰茎の構造上欠陥(屈曲、陰茎の線維化、Peyronie病等)のある患者で、性行為が困難であり痛みを伴う可能性があると記載されています。9.1.3は持続勃起症の素因となり得る疾患(鎌状赤血球性貧血、多発性骨髄腫、白血病等)のある患者、9.1.6は多系統萎縮症(Shy-Drager症候群等)のある患者で、本剤の血管拡張作用により原疾患による低血圧を増悪させることがあると記載されています。

これらは、効果が得られない原因の一覧として置かれているのではありません。投与にあたって確認される背景として、特定の背景を有する患者に関する注意の項に並べられているものです。添付文書は、効果が得られなかったときに原因を特定する手順を記載していません。

4.効能又は効果は、勃起不全(満足な性行為を行うに十分な勃起とその維持が出来ない患者)と定められています。この定義は状態を指すものであり、その状態がどの要因によって生じているかを区別するものではありません。要因の区別は、添付文書の外側で行われることになります。

勃起不全の背景要因には、血管性・神経性・内分泌性・心因性・薬剤性といった分類が知られており、これらは医療機関での確認の対象です。分類の内容は勃起不全の背景要因の分類にまとめています。

よくある質問

Q50mgで効果がないとき、100mgに増やしてよいですか。

添付文書の用法及び用量は1日1回25mg〜50mgと定められており、効果が得られないことを理由に増量してよいという記載はありません。100mgのデータは16.薬物動態と17.臨床成績に掲載されていますが、いずれの箇所にも日本での承認用量は1日1回25mg〜50mgであるという注記が付されています。効果が得られない場合に用量をどう扱うかは、処方を受けている医療機関での判断の対象になります。

Q1日に2回に分けて飲んでもよいですか。

用法及び用量には、1日の投与は1回とし、投与間隔は24時間以上とすることと定められています。分割して2回服用する形は、1日1回という条件にも24時間以上という条件にも当てはまりません。25mgを2回に分けるという形も同様で、回数と間隔は量とは別の条件として書かれています。

Q食後に飲むと、効果はまったく出ないのですか。

添付文書7.の記載は「食事と共に本剤を投与すると、空腹時に投与した場合に比べ効果発現時間が遅れることがある」であり、効果が失われるとは記載されていません。16.2.1では、食後投与で最高血漿中濃度到達時間が1.8時間延長し、最高血漿中濃度が42%減少したことが記載されていますが、血漿中濃度-時間曲線下面積の減少は14%です。なお、食後にどれだけ間隔を空ければよいかについては、添付文書に記載がありません。

Qグレープフルーツジュースやアルコールは避ける必要がありますか。

添付文書の10.相互作用には、飲食物を対象とする行が置かれていません。併用禁忌の三区分も併用注意の五区分も、医薬品の名称または薬効群の名称で示されています。ただし記載がないことは、確認が不要であることを意味しません。本剤が主にチトクロームP450 3A4によって代謝されることは10.の冒頭と16.4に記載されており、この経路に関わる薬剤の区分が10.2に置かれています。気になる飲食物がある場合は、処方を受ける場で確認する対象になります。

Q他のED治療薬と併用すれば効きますか。

添付文書9.1.4は、PDE5阻害薬又は他の勃起不全治療薬を投与中の患者について、併用使用に関する安全性は確立していないと記載しています。これは10.1の併用禁忌とは別の場所にある記載ですが、併用してよいという意味ではありません。安全性が確立していないという表現は、確かめられていないという状態を示すもので、効果や安全性が確認された組み合わせであることを示すものではありません。

Q効果が得られない状態が続く場合、何が確認の対象になりますか。

添付文書は、効果が得られなかったときに原因を特定する手順を記載していません。記載されているのは、用法及び用量に定められた四つの条件と、開始用量を下げる対象となる患者背景です。勃起不全の背景要因には血管性・神経性・内分泌性・心因性・薬剤性といった分類が知られており、これらは医療機関での確認の対象になります。服用の条件を満たしていたかどうかと、服用中の他の薬剤を含めた状況を、処方を受けている場で伝えることが確認の起点になります。

まとめ

効果が得られないときに量を増やしてよいかという問いに対して、添付文書は増量を認める記載も、増量の手順を示す記載も持っていません。定められているのは、1回あたり25mg〜50mg、1日1回、性行為の約1時間前、投与間隔24時間以上という四つの条件です。

添付文書に100mgや150mgのデータが掲載されていることは事実ですが、その掲載箇所にはいずれも、日本での承認用量は1日1回25mg〜50mgであるという注記が付されています。承認番号が与えられている四製剤の含量も、25mgまたは50mgです。

用量に関して添付文書が持っているもう一方の記載は、開始用量を下げる方向のものです。高齢者、肝機能障害のある患者、重度の腎障害のある患者については25mgを開始用量とすることが定められ、重度の肝機能障害では投与しないこととされています。

食事については、効果発現時間が遅れることがあるという一文と、50mgを用いた試験の数値があります。飲食物を対象とする行は相互作用の項になく、他の勃起不全治療薬との併用は9.1.4に安全性は確立していないとして置かれています。いずれも、記載の位置と書きぶりが区分の性質を表しています。効果が得られない状態が何によるものかは、添付文書の記載の側からは判定できないため、処方を受けている場での確認が対象になります。

本記事の数値および記載は、バイアグラ錠25mg/バイアグラ錠50mg/バイアグラODフィルム25mg/バイアグラODフィルム50mg 添付文書(2024年7月改訂・第8版、製造販売元:ヴィアトリス製薬合同会社)に基づいています。添付文書は改訂されることがあるため、最新版はPMDA 医療用医薬品 情報検索でご確認ください。本記事は情報の整理を目的としたものであり、診断・処方を行うものではありません。