結論バイアグラの添付文書が併用禁忌としているのは、硝酸剤及びNO供与剤、アミオダロン塩酸塩(経口剤)、sGC刺激剤のリオシグアトの三つです。このほかに、禁止ではないものの扱いを分けて記載された「併用注意」の区分が五つあり、こちらには血圧の薬や一部の抗菌薬・抗ウイルス薬が置かれています。
この記事の要点
- 併用禁忌は硝酸剤及びNO供与剤、アミオダロン塩酸塩(経口剤)、リオシグアトの三つで、添付文書の10.1に記載されている
- 硝酸剤には舌下錠・スプレー・貼付剤・注射・吸入・内服錠の剤形があり、飲み薬だけを確認しても範囲が尽きない
- アミオダロン塩酸塩は「(経口剤)」と剤形が明記され、リオシグアトは薬効群ではなく薬剤名で指定されている
- 併用注意は五区分で、CYP3A4阻害薬とα遮断剤には「低用量(25mg)から投与を開始するなど慎重に投与すること」と措置方法が書かれている
- CYP3A4阻害薬との併用では、最高血漿中濃度が最大3.9倍、血漿中濃度-時間曲線下面積が最大10.5倍に増加したと報告されている
- バイアグラの添付文書に名前がなくても、相手側の医薬品の添付文書でシルデナフィルが禁忌とされている例がある
バイアグラ(一般名:シルデナフィルクエン酸塩)と他の薬の飲み合わせは、添付文書の「10. 相互作用」に、併用禁忌と併用注意という二つの区分で記載されています。この記事では、どの薬がどちらの区分に置かれ、それぞれに何が書かれているのかを、バイアグラ錠の添付文書(2024年7月改訂・第8版)の記載に沿って整理します。あわせて、バイアグラ側の添付文書だけでは範囲が尽きない場合があることを、相手側の医薬品の添付文書の記載から示します。
添付文書が併用禁忌としている三つの薬剤群
バイアグラの添付文書は、10.1「併用禁忌(併用しないこと)」の項に三つの薬剤群を挙げています。硝酸剤及びNO供与剤、アミオダロン塩酸塩(経口剤)、そしてsGC刺激剤のリオシグアトです。これらはいずれも、禁忌の項(2.2、2.8、2.9)にも同じ内容が置かれています。
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| 硝酸剤及びNO供与剤 ニトログリセリン、亜硝酸アミル、硝酸イソソルビド、ニコランジル等 | 併用により、降圧作用を増強することがある | NOはcGMPの産生を刺激し、一方、本剤はcGMPの分解を抑制することから、両剤の併用によりcGMPの増大を介するNOの降圧作用が増強する |
| アミオダロン塩酸塩 (アンカロン)(経口剤) | アミオダロン塩酸塩によるQTc延長作用が増強するおそれがある | 機序不明。類薬とアミオダロン塩酸塩の併用により、QTc延長があらわれるおそれがあるとの報告がある |
| sGC刺激剤 リオシグアト(アデムパス) | 併用により、症候性低血圧を起こすことがある | リオシグアト投与によりcGMP濃度が増加し、一方、本剤はcGMPの分解を抑制することから、両剤の併用によりcGMPの細胞内濃度が増大し、全身血圧に相加的な影響を及ぼすおそれがある |
三つのうち硝酸剤及びNO供与剤については、相互作用の項だけでなく、添付文書の冒頭に置かれた警告の項にも記載があります。警告は添付文書の中で最も上位に置かれる注意であり、本剤には二項目しかありません。そのうちの一項目が硝酸剤との併用に充てられています。
1.1 本剤と硝酸剤あるいは一酸化窒素(NO)供与剤(ニトログリセリン、亜硝酸アミル、硝酸イソソルビド、ニコランジル等)との併用により降圧作用が増強し、過度に血圧を下降させることがあるので、本剤投与の前に、硝酸剤あるいは一酸化窒素(NO)供与剤が投与されていないことを十分確認し、本剤投与中及び投与後においても硝酸剤あるいは一酸化窒素(NO)供与剤が投与されないよう十分注意すること。
バイアグラ錠25mg/50mg、バイアグラODフィルム25mg/50mg 添付文書 1.警告より
この記載が置かれた経緯は、国内承認より前にさかのぼります。厚生省(当時)は1998年8月の「医薬品・医療用具等安全性情報 No.149」に「クエン酸シルデナフィル(バイアグラ)と硝酸薬の併用による重篤な副作用について」を掲載し、米国FDAの資料と製造販売元のドクターレターの仮訳を収録しました。国内での承認は翌1999年1月で、承認と同時に要指示医薬品に指定されています。硝酸剤との併用に関する注意は、承認前から公的な情報として出されていたものが、現在の添付文書の警告に引き継がれた形です。医薬品・医療用具等安全性情報 No.149は現在も公開されています。
添付文書の禁忌は九項目あり、そのうち薬剤の併用に関するものが上の三項目です。残りの六項目は、過敏症の既往歴、心血管系障害、重度の肝機能障害、血圧の数値条件、脳梗塞・脳出血・心筋梗塞の既往、網膜色素変性症という患者側の条件です。禁忌九項目の全体像と警告の二項目については、添付文書の警告と禁忌からの確認で扱っています。
硝酸剤とNO供与剤は剤形が分かれている 飲み薬だけの確認では範囲が尽きない
併用禁忌の一つ目に挙げられた硝酸剤及びNO供与剤は、狭心症などの治療に用いられる薬です。ここで確認しておきたいのは、これらの薬が飲み薬の形だけで存在しているわけではない、という点です。同じ有効成分が複数の剤形で承認されており、飲み薬以外の形で使っている場合も併用禁忌にあたります。
硝酸剤・NO供与剤に存在する剤形
ニトログリセリンには、舌下錠、口腔内に噴霧するスプレー剤、皮膚に貼る貼付剤(テープ)、注射剤・点滴静注用製剤があります。硝酸イソソルビドには内服錠・徐放錠、スプレー剤、貼付剤、注射剤があり、一硝酸イソソルビドは内服錠です。亜硝酸アミルは吸入用のアンプルで、ニコランジルには内服錠と注射剤があります。
剤形の幅がここまで広いことは、服用中の薬を確認する場面で見落としにつながります。「飲んでいる薬」を思い出す形で確認すると、胸が苦しいときにだけ使う舌下錠やスプレー、毎日貼り替えている貼付剤が確認の対象から外れやすいためです。添付文書の警告が、投与前の確認に加えて「本剤投与中及び投与後においても」投与されないよう注意することを求めているのも、こうした頓用や外用の形があることと無関係ではありません。
なお、日本国内で承認されている硝酸剤・NO供与剤に、点眼薬の剤形はありません。点眼薬とシルデナフィルの関係については、成分が異なる別の論点があり、この記事の後半で扱います。
使っている薬が上のどれにあたるかは、薬剤の名称からは判断しにくいことがあります。処方された薬の内容は、お薬手帳や薬剤情報提供書に記載されています。持病があり服薬中の方が、医療機関でどのように確認を受けることになるかは、受診の判断で整理しています。
アミオダロンとリオシグアトは、剤形と薬剤名で範囲が示されている
併用禁忌の残る二つは、いずれも記載の仕方に特徴があります。添付文書が薬効群の名前だけで範囲を示しているのではなく、剤形または個別の薬剤名まで書き込んでいる点です。
アミオダロン塩酸塩(経口剤)
不整脈の治療に用いられる薬です。添付文書の禁忌2.8は「アミオダロン塩酸塩(経口剤)を投与中の患者」と記載しており、括弧書きで剤形が示されています。10.1の表でも同じく「(アンカロン)(経口剤)」と書かれています。併用による影響としては、アミオダロン塩酸塩によるQTc延長作用が増強するおそれがあることが挙げられ、機序は不明とされています。
sGC刺激剤(リオシグアト)
可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激剤と呼ばれる種類の薬で、肺高血圧症の治療に用いられます。添付文書の禁忌2.9は「可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)刺激剤(リオシグアト)を投与中の患者」と記載しており、群の名前に加えて薬剤名が示されています。リオシグアトの投与によりcGMPの濃度が増加し、本剤がcGMPの分解を抑制することから、細胞内濃度が増大して全身血圧に相加的な影響を及ぼすおそれがある、と説明されています。
剤形や薬剤名まで書かれているということは、その範囲がどこまでかを添付文書が特定しているということです。逆に言えば、同じ薬効群に属していても添付文書に名前が挙がっていない薬剤については、その薬剤自身の添付文書を見て判断する必要が出てきます。この点は後半で具体例とともに扱います。
添付文書のこうした書き分けは、処方の場面で医師と薬剤師が個々の患者の服薬内容を照合することを前提に置かれています。本剤は処方箋医薬品であり、添付文書の冒頭にも「注意-医師の処方箋により使用すること」と記載されています。入手経路によっては、この照合が行われないまま服用に至ることがあります。国内で正規に入手できる経路については、入手経路の整理で扱っています。
併用注意は禁忌とは別の区分で、五つが挙げられている
添付文書には、10.1の併用禁忌とは別に、10.2「併用注意(併用に注意すること)」の項があります。ここには五つの薬剤群が置かれています。併用禁忌が「併用しないこと」と書かれているのに対し、併用注意は「併用に注意すること」であり、両者は同じ扱いではありません。
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| チトクロームP450 3A4阻害薬 リトナビル、ニルマトレルビル・リトナビル、ダルナビル、エリスロマイシン、シメチジン、ケトコナゾール、イトラコナゾール、エンシトレルビル フマル酸等 | リトナビル、エリスロマイシン、シメチジンとの併用により、本剤の血漿中濃度が上昇した。低用量(25mg)から投与を開始するなど慎重に投与すること | 代謝酵素阻害薬によるクリアランスの減少 |
| チトクロームP450 3A4誘導薬 ボセンタン、リファンピシン等 | 本剤の血漿中濃度が低下する | 代謝酵素誘導によるクリアランスの増加 |
| 降圧剤 | アムロジピン等の降圧剤との併用で降圧作用を増強したとの報告がある | 本剤は血管拡張作用による降圧作用を有するため、併用による降圧作用を増強することがある |
| α遮断剤 | ドキサゾシン等のα遮断剤との併用でめまい等の自覚症状を伴う血圧低下を来したとの報告がある。降圧作用が増強することがあるので、低用量(25mg)から投与を開始するなど慎重に投与すること | 同上 |
| カルペリチド | 併用により降圧作用が増強するおそれがある | 同上 |
表②で目を引くのは、臨床症状の欄に措置方法が併記されている点です。CYP3A4阻害薬とα遮断剤の二つには「低用量(25mg)から投与を開始するなど慎重に投与すること」という記載があります。併用そのものを妨げる書き方ではなく、開始用量を下げるという具体的な手順が示されています。併用禁忌の三項目にはこうした措置方法の記載がなく、この違いが二つの区分の性質を表しています。
ここで挙がっている25mgという数値は、添付文書の用法及び用量に定められた範囲の中の値です。用法及び用量は1日1回25mg〜50mg、投与間隔は24時間以上とされ、高齢者・肝障害・重度の腎障害のある患者についても25mgを開始用量とすることが定められています。用法及び用量の全体像は、用法用量に定められた範囲で扱っています。
CYP3A4阻害薬で血中濃度はどれだけ上がるか 添付文書に記載された倍率
併用注意の一つ目に置かれたCYP3A4阻害薬について、添付文書は具体的な倍率を記載しています。本剤は主にチトクロームP450(CYP)3A4によって代謝されるため、この酵素の働きを抑える薬と併用すると、体内から抜けにくくなって血中濃度が上がります。
リトナビル、エリスロマイシン、シメチジンとの併用により、本剤の血漿中濃度が上昇し、最高血漿中濃度(Cmax)がそれぞれ3.9倍、2.6倍、1.5倍に増加し、血漿中濃度-時間曲線下面積(AUC)がそれぞれ10.5倍、2.8倍、1.6倍に増加した。
バイアグラ錠25mg/50mg、バイアグラODフィルム25mg/50mg 添付文書 10.2 併用注意より
三剤で倍率に幅があります。血漿中濃度-時間曲線下面積で見ると、シメチジンの1.6倍からリトナビルの10.5倍まで、およそ6倍以上の開きがあります。CYP3A4阻害薬という一つの群にまとめられていても、体内の血中濃度への影響の大きさは薬剤によって同じではない、ということが数値として示されています。
表②に挙げられた薬剤の顔ぶれも確認しておきます。エリスロマイシンは抗菌薬、ケトコナゾールとイトラコナゾールは抗真菌薬、シメチジンは胃酸の分泌を抑える薬です。リトナビル、ニルマトレルビル・リトナビル、ダルナビル、エンシトレルビル フマル酸は抗ウイルス薬にあたります。日常的に長く飲み続ける薬だけでなく、感染症の治療のために一時的に処方される薬が含まれている点は、確認の際に見落としやすいところです。
反対に、CYP3A4誘導薬であるボセンタンやリファンピシン等との併用では、本剤の血漿中濃度が低下すると記載されています。倍率の記載はありません。阻害薬と誘導薬では、血中濃度に対して逆方向の影響が生じることになります。
血中濃度が高くなると症状の出方がどう変わるかは、薬物動態の数値から説明できます。血中濃度が上がりやすい条件と、それに伴って生じる頭痛や顔の赤みの経過については、服用後の症状の経過で扱っています。
降圧剤・α遮断剤・カルペリチドは、降圧作用の重なりで注意区分に置かれている
併用注意の後半三つは、いずれも機序の欄に同じ説明が置かれています。本剤が血管拡張作用による降圧作用を持つため、降圧作用を持つ薬と併用すると作用が重なる、という説明です。CYP3A4に関する二つが代謝の話であるのに対し、こちらは血圧そのものへの影響が理由になっています。
降圧剤の扱いは、併用禁忌の硝酸剤とは区分が異なる
血圧の薬のうち、添付文書が併用禁忌としているのは硝酸剤及びNO供与剤です。アムロジピン等の降圧剤は10.2の併用注意に置かれており、区分が異なります。ただし併用注意も、自己判断で併用してよいという意味ではありません。降圧剤には多くの種類があり、服用中の薬剤名によって扱いが変わるため、処方を受ける医療機関に服用中の薬を伝えて判断を仰ぐことになります。
α遮断剤は、高血圧の治療に用いられるほか、前立腺肥大症に伴う排尿障害の治療にも用いられる薬です。添付文書はドキサゾシン等との併用で「めまい等の自覚症状を伴う血圧低下を来したとの報告がある」と記載し、低用量から開始するよう求めています。前立腺肥大症で通院している場合、その薬がα遮断剤にあたるかどうかは把握しておく必要があります。
カルペリチドは急性心不全の治療に用いられる注射剤で、外来で処方される薬ではありません。三つの中では、入院中の治療で使われる場面が想定される薬剤です。
血圧の薬について、どの薬効群が併用禁忌にあたり、どの薬効群が併用注意にとどまるのかは、血圧の薬との併用で薬効群ごとに整理しています。
バイアグラの添付文書に名前がなくても、相手側の添付文書で禁忌とされている場合がある
ここまではバイアグラの添付文書に書かれている内容です。しかし飲み合わせの記載は、片方の添付文書だけで完結しているとは限りません。バイアグラの併用禁忌欄に名前が挙がっていない薬剤であっても、その薬剤自身の添付文書にシルデナフィルが禁忌として書かれていることがあります。
ニプラジロールの内服剤と点眼液で、禁忌の記載が異なる
ニプラジロールという成分の内服剤(ハイパジールコーワ錠3/6、本態性高血圧症・狭心症)は、禁忌2.9に「ホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤(シルデナフィルクエン酸塩、バルデナフィル塩酸塩水和物、タダラフィル)又はリオシグアトを投与中の患者」と記載しています。一方、同じ成分の点眼液(緑内障・高眼圧症)の禁忌にはこの記載がなく、過敏症の既往歴、気管支喘息等、心不全等の三項目にとどまります。点眼液の添付文書には、単回点眼でも反復点眼でも血漿中の濃度が検出限界以下であったことが記載されています。
同じ有効成分でも、剤形によって全身に入る量が違えば、添付文書に置かれる注意の内容も変わります。内服剤では禁忌として書かれている組み合わせが、点眼液では禁忌の項に現れない、という差がここに表れています。この差は各製剤の添付文書を見て初めて分かるもので、成分名だけからは判断できません。
反対の方向の例もあります。慢性心不全の治療に用いられるベルイシグアト(ベリキューボ錠)は、リオシグアトと同じ可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激薬に分類されます。しかしバイアグラの禁忌2.9が名指ししているのはリオシグアトであり、ベルイシグアトの名前はありません。ベリキューボ錠側の添付文書を見ると、併用禁忌はリオシグアトのみで、PDE5阻害剤は併用注意に置かれ、「治療上の有益性と危険性を十分に考慮し、治療上やむを得ないと判断された場合にのみ併用すること」と記載されています。同じ薬効群であっても、薬剤ごとに区分が分かれている例です。
添付文書が薬効群の名前ではなく薬剤名と剤形で書かれているのは、こうした個別の差があるためです。飲み合わせの確認が、群の名前を照らし合わせるだけでは足りず、薬剤名の水準で行われる必要があるのは、この構造によります。
ここまでで扱った薬剤は、いずれも医師の処方を前提とした医療用医薬品であり、相互作用は添付文書という共通の様式に記載されています。薬局や通信販売で購入できる市販の活力ケア製品は、これらとは承認区分が異なり、承認された効能又は効果の範囲も、記載事項を定める規定も同じではありません。それぞれがどの制度の上に置かれているかは、承認区分による整理で扱っています。
よくある質問
Q併用禁忌と併用注意は何が違いますか。
添付文書では、10.1が「併用禁忌(併用しないこと)」、10.2が「併用注意(併用に注意すること)」と書き分けられています。併用注意の欄には、CYP3A4阻害薬とα遮断剤について「低用量(25mg)から投与を開始するなど慎重に投与すること」という措置方法が併記されており、併用禁忌の三項目にはこうした措置方法の記載がありません。ただし併用注意も、自己判断で併用してよいという意味ではありません。
Q硝酸剤の貼り薬やスプレーも併用禁忌にあたりますか。
添付文書の記載は剤形を限定していません。10.1は「硝酸剤及びNO供与剤(ニトログリセリン、亜硝酸アミル、硝酸イソソルビド、ニコランジル等)」と成分名で記載されており、これらの成分には舌下錠、口腔内スプレー、貼付剤、注射剤、吸入用アンプル、内服錠の剤形があります。飲み薬の形以外で使用している場合も対象に含まれます。
Q血圧の薬を飲んでいますが、併用禁忌にあたりますか。
血圧の薬のうち、添付文書が併用禁忌としているのは硝酸剤及びNO供与剤です。アムロジピン等の降圧剤は10.2の併用注意に置かれており、区分が異なります。降圧剤は種類が多く、服用中の薬剤名によって扱いが変わるため、処方を受ける医療機関に服用中の薬を伝えて判断を仰ぐことになります。
Q前立腺肥大症の薬はどう扱われていますか。
前立腺肥大症に伴う排尿障害の治療にはα遮断剤が用いられることがあり、α遮断剤は10.2の併用注意に置かれています。添付文書には、ドキサゾシン等との併用でめまい等の自覚症状を伴う血圧低下を来したとの報告があること、降圧作用が増強することがあるため低用量(25mg)から投与を開始するなど慎重に投与することが記載されています。
Qバイアグラの添付文書に名前がない薬なら、併用してよいのですか。
飲み合わせの記載は、片方の添付文書だけで完結しているとは限りません。ニプラジロールの内服剤(ハイパジールコーワ錠)は、バイアグラの併用禁忌欄に名前がありませんが、その添付文書の禁忌2.9にホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤としてシルデナフィルクエン酸塩が記載されています。服用中の薬がある場合は、薬剤名を医師・薬剤師に伝えて確認を受けてください。
Qアルコールやグレープフルーツについて、添付文書に記載はありますか。
添付文書の相互作用の項に、飲食物に関する記載はありません。食事については、用法及び用量に関連する注意の項に「食事と共に本剤を投与すると、空腹時に投与した場合に比べ効果発現時間が遅れることがある」との記載があります。記載がないことは併用してよいという意味ではなく、判断材料が添付文書の中にないということです。
まとめ
バイアグラの添付文書が併用禁忌としているのは、硝酸剤及びNO供与剤、アミオダロン塩酸塩(経口剤)、sGC刺激剤のリオシグアトの三つです。このうち硝酸剤及びNO供与剤については、相互作用の項に加えて、二項目しかない警告の一項目が充てられています。
併用注意は五区分で、CYP3A4阻害薬、CYP3A4誘導薬、降圧剤、α遮断剤、カルペリチドが置かれています。前者二つは代謝を通じて血中濃度に影響し、後者三つは降圧作用の重なりが理由です。CYP3A4阻害薬との併用では、最高血漿中濃度が最大3.9倍、血漿中濃度-時間曲線下面積が最大10.5倍に増加したと記載されており、同じ群の中でも薬剤によって幅があります。
確認の際に見落としやすい点は二つです。一つは、硝酸剤に舌下錠・スプレー・貼付剤・注射・吸入という飲み薬以外の剤形があること。もう一つは、バイアグラの添付文書に名前がなくても、相手側の医薬品の添付文書でシルデナフィルが禁忌とされている場合があることです。飲み合わせの確認は、薬効群ではなく薬剤名の水準で行われる必要があります。
本記事の数値および記載は、バイアグラ錠25mg/バイアグラ錠50mg/バイアグラODフィルム25mg/バイアグラODフィルム50mg 添付文書(2024年7月改訂・第8版、製造販売元:ヴィアトリス製薬合同会社)、ハイパジールコーワ錠3/ハイパジールコーワ錠6 添付文書(2024年9月改訂・第2版、製造販売元:興和株式会社)、ニプラジロール点眼液0.25% 添付文書(2022年10月改訂・第1版)、ベリキューボ錠2.5mg/5mg/10mg 添付文書(2022年9月改訂・第3版)に基づいています。添付文書は改訂されることがあるため、最新版はPMDA 医療用医薬品 情報検索でご確認ください。本記事は情報の整理を目的としたものであり、診断・処方を行うものではありません。

